【WEB版】空っぽ聖女と婚約破棄されましたが、真の力が開花したのであなたなんてこちらから願い下げです!~義姉に全て奪われたけど、銀竜公爵からの溺愛が待っていました~
「――失礼……!! それ位でよろしいでしょう、皆様方」

 さすがに見ていられなかったのか……人垣を割る様にして現れた一人の男性が、場の空気を切り裂くように声を発した。

 落ち着いた口調ではあるが、それにははっきり批判の意思がこもっている。

 ……誰かが呟く。

「銀竜公爵……」
「おぉ……あれが古き竜の血を引くとも言われるハーケンブルグ家の若き公爵か」

 男はリュミエールを庇うように進み出ると、王太子と向かい合う。

「……ハーケンブルグ公爵よ、何か私に文句でも付けようと言うのか?」
「……ひとこと言わせていただくとすれば、いくらあなた様の婚約披露の場であるとはいえ、大勢で一人の娘をあげつらう様はいささか不快ですな」
「な、なんだと……?」

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