【WEB版】空っぽ聖女と婚約破棄されましたが、真の力が開花したのであなたなんてこちらから願い下げです!~義姉に全て奪われたけど、銀竜公爵からの溺愛が待っていました~
 そして、自分の瞳と同じ色の美しい青色の宝石を、レクシオールは取り出し……リュミエールのの薬指に優しく()める。

「うん……細いなお前の指は。だが、良く似合っている」
「ありがとうございます……ふぇ」
「これ、こんな所で泣くなよ……化粧が落ちると困るだろうが」
「あぅ……そうですね。では、公爵様には私が」
「ああ……」

 手の甲を優しくつままれ、何とか涙をこらえたリュミエールは同じように彼の武骨な指へと黄色いダイヤの指輪を()めた。

 互いの瞳の色をした婚約指輪は、付けているだけでお互いの絆が深まるような……そんな気分にさせてくれる。思わずリュミエールは頬を緩めた。

「私、もう今日はこれだけで十分幸せになれました……」
「おいおい、それはいいが……俺がまだ楽しんでいないだろうが。次に行くぞ」
「はいっ!」

 照れからか、ぶっきらぼうに言う彼の腕にリュミエールは思いっきりしがみ付く。

 宝飾店の店員総出で見送られた後も……引き続き多くの住民達に歓迎を受けながら、二人は道行きを楽しむ。その頃にはリュミエールの緊張もほぐれていた。

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