【WEB版】空っぽ聖女と婚約破棄されましたが、真の力が開花したのであなたなんてこちらから願い下げです!~義姉に全て奪われたけど、銀竜公爵からの溺愛が待っていました~


 茶会の誘いが来た夜、レクシオールは執務室で遅くまで考えを巡らせていた。
 部屋の中にはフレデリクも顔を見せている。

「婚姻前の友好を深める為の茶会か……建前としては普通だが。……どうもあまり好意的にはとれんな」

 婚約破棄の場や、先日の一件で彼らの人となりを把握したレクシオールは、吐き捨てるように言う。

「う~ん……僕もあまり油断はしない方がいいような気がするよ。フィースバーク侯爵夫妻も、令嬢方もあまりい噂は聞かないしね」

 彼もそれには同意する。
 侯爵は陰気で金狂いだと、貴族、領民共から芳しくない評判を受けている男だ。
 リュミエールには悪いが、普通ならば身内にいては欲しくない類の人物である。
 
 そしてサンドラは今は王太子の元で鳴りを潜めているが、リーシアは夜ごと散財を重ね、男遊びをそこら中で繰り返しているとの噂だ。この二人の行状も、フィースバーク侯爵家の財政が傾く一因となっているらしい。

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