【WEB版】空っぽ聖女と婚約破棄されましたが、真の力が開花したのであなたなんてこちらから願い下げです!~義姉に全て奪われたけど、銀竜公爵からの溺愛が待っていました~
「よくそんな家族の元で、あんな純真な娘が育ったもんだよねぇ」
「ケイティと、リュミエールの母とも親交があったセルバンという老執事が、良く出来た人物だったようだ。今は職を辞してどこかに消えたらしいが、一度……是非会って礼を言いたいものだな」
フレデリクは彼の変化に目を見張る思いだった。必要以上に人を寄せ付けなかったあの彼が、こんなことを言うようになったのは……リュミエールの影響だろう。あの娘が頑なだったこの男の心をときほぐしたのだ。
「なんだその目は……」
「いやあ、冷血公爵のあだ名も返上だね、こりゃ」
「チッ……うるさいぞ。とはいえ、気を付けた方がいいのは王太子の動向の方だろうな。どちらかというと、働きかけたのはそちらの方かもしれん。先日の狩猟でも俺への意趣返しが目的だったと聞いた……うまくはいかなかったがな。もし次もそうであるなら、警戒はしておくべきだろう。しかしつくづく器の小さいというか、了見の狭いというか……陛下はあれを本気で次期国王に据えるつもりなのか?」
「優秀な第二王子を後ろ盾にしてなんとかするつもりらしいけど……ぞっとしないねぇ」
フレデリクは首をすくめた。
この国に領地を預かる二人としては、愚王の下に着くのは生死を別つ問題ですらある。
いっそのこと早いうちに王太子には勝手にどこかで破滅してもらい、国の中枢からご退場願いたい所でなのであった。
「ケイティと、リュミエールの母とも親交があったセルバンという老執事が、良く出来た人物だったようだ。今は職を辞してどこかに消えたらしいが、一度……是非会って礼を言いたいものだな」
フレデリクは彼の変化に目を見張る思いだった。必要以上に人を寄せ付けなかったあの彼が、こんなことを言うようになったのは……リュミエールの影響だろう。あの娘が頑なだったこの男の心をときほぐしたのだ。
「なんだその目は……」
「いやあ、冷血公爵のあだ名も返上だね、こりゃ」
「チッ……うるさいぞ。とはいえ、気を付けた方がいいのは王太子の動向の方だろうな。どちらかというと、働きかけたのはそちらの方かもしれん。先日の狩猟でも俺への意趣返しが目的だったと聞いた……うまくはいかなかったがな。もし次もそうであるなら、警戒はしておくべきだろう。しかしつくづく器の小さいというか、了見の狭いというか……陛下はあれを本気で次期国王に据えるつもりなのか?」
「優秀な第二王子を後ろ盾にしてなんとかするつもりらしいけど……ぞっとしないねぇ」
フレデリクは首をすくめた。
この国に領地を預かる二人としては、愚王の下に着くのは生死を別つ問題ですらある。
いっそのこと早いうちに王太子には勝手にどこかで破滅してもらい、国の中枢からご退場願いたい所でなのであった。