【WEB版】空っぽ聖女と婚約破棄されましたが、真の力が開花したのであなたなんてこちらから願い下げです!~義姉に全て奪われたけど、銀竜公爵からの溺愛が待っていました~
「僕としてはそうそうにどこかで失態を犯して僧院にでもぶち込まれてほしいけどね……」
「そううまくはいくまいが、俺は何かあれば第二王子を推すぞ……あんな王子に我が領民の運命が任せられるか!!」
「だね……。でも、本当にリュミエールを連れて行くのかい?」

 耳の早いことだ……とレクシオールは訝しんだが、別に秘密にするような事柄でもないため、潔く肯定する。

「俺とて、できることならそっとしておいてやりたい気持ちはある。だが、いつまでもそれでは……問題から逃げていてはいけないんだと教えてくれたのはあいつだからな。何かあれば俺が……守るさ」
「ふふっ……」

 フレデリクの笑いを聞いた、レクシオールの眉間に深いしわが寄った。

「いちいち(しゃく)に障る奴だな……」
「怒るなよ……だって、君から女性を守るなんて言葉、初めて聞いたよ? あっという間に惚れちゃったもんだねぇ」
「……クソ、悪いか」

 彼は歯噛みしながら顔をそむけるが、それが照れから出たものなのは明白で……フレデリクとしては「ご馳走様」とでも言ってやりたい気分だ。

< 232 / 341 >

この作品をシェア

pagetop