【WEB版】空っぽ聖女と婚約破棄されましたが、真の力が開花したのであなたなんてこちらから願い下げです!~義姉に全て奪われたけど、銀竜公爵からの溺愛が待っていました~
 そしてその結果……彼は立ち上がり自らの責務をこなし始めた。だが、その瞳はどこか諦めと拒絶に彩られ、自らが幸せになることを放棄しているようであった。

 だが、その瞳は再び輝きを放つようになった……あの少女が現われてから。

 素直だが気弱な所が目立っていた彼女……だがいつでも一生懸命のその姿に、いつしか周りは強く引き寄せられていった。そして彼女は、ずっと止まっていたレクシオールの時を動かしてくれたのだ――。

「――ねえ、なぜ君はあの時リュミエールを助けたんだい?」
「王太子の生誕祭でのことか? 別に……大した理由があったわけでも無い。だが、懸命に生きている人間を嗤う卑劣を許せなどと、俺は教わっていない。世間知らずだと罵る者もいるかも知れないが、大切な人達から教わったこの生き方が、俺の誇りなんだ」
「そうか……そうだな。うん……」

 フレデリクは彼の根っこの部分が、ずっと変わらずにいてくれたことを嬉しく思う。同時にもう、完全に思い残すことは無いと知った。

「レックス……長い付き合いだったけど、僕はもうここには来ない。新婚の邪魔をするのも悪いからね」

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