【WEB版】空っぽ聖女と婚約破棄されましたが、真の力が開花したのであなたなんてこちらから願い下げです!~義姉に全て奪われたけど、銀竜公爵からの溺愛が待っていました~
「お二人には悪いのだけど、カシウス様が喉が渇いたみたいでして。先にお茶を頂くわ」
「ええ、お好きになさってください」
「どうぞ、カシウス様……」

 青いポットが侍女の手によってサンドラに手渡され、琥珀色の液体が注がれたカップを受け取った王太子は満足げにそれに手を取る。

「いやあ、サンドラは僕を良く立ててくれるからね、助かっているんだよ。リュミエール嬢には悪かったが、婚約を破棄したことはどうやらお互いに有益だったようだ、ハハハ!」
(どの面を下げてこの男は……!)
(ダメです、レックス!)

 レクシオールの表情が怒りに変わる寸前、リュミエールは彼の靴を思い切り踵で踏んづけると、泣きそうな顔で首を振る。それによってレクシオールは何とか自制を取り戻し、無表情を再び王太子の方に向けようとしたのだが……。

 ――ガシャン!!

「――カ、カシウス様!?」
「が、かはっ……!? がっ……!」

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