【WEB版】空っぽ聖女と婚約破棄されましたが、真の力が開花したのであなたなんてこちらから願い下げです!~義姉に全て奪われたけど、銀竜公爵からの溺愛が待っていました~
 リュミエールの悲鳴にも似た叫びに、サンドラは悔しそうにしながら、王太子の前にやって来る。

「……み、水よ……! 我が求めに応じなさい!」

 しかし……。

「ど、どうして!? 出なさいよ! 水よ、求めに応じよ! 水よっ!! ……どうしてっ、水! 水がなんで出ないのよっ!」

 サンドラの指からは水滴がぽたぽたと滴り落ちるだけで、いつぞや見せたような大量の水はまるで出て来ない。

「――こ、これはどうしたことだ!?」
 
 そして、そこに姿を見せたのは、異様な気迫をまとったオルゲナフとリーシア、そして苛立つ侯爵夫人だったが、倒れた王太子の姿を見て瞬く間にそれらの顔は驚愕へと変わる。

「どうも何もっ……貴様らの用意した紅茶を飲んだ瞬間王太子が苦しみ始めたんだ! 水を飲ませて吐き出させ、胃を洗わせる! 厨房はどこだ!? 医者は!?」
「ぐむぅ……こ、こんな、何故こんなことに……」
「何をしている!? 早く言え!」

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