【WEB版】空っぽ聖女と婚約破棄されましたが、真の力が開花したのであなたなんてこちらから願い下げです!~義姉に全て奪われたけど、銀竜公爵からの溺愛が待っていました~

◇私欲の王子、挺身の王子(カシウス、ロベルト視点)

 命を取り留めた王太子カシウスは、体調が回復した頃……窓からぼんやりと外を見ていた。

「…………」

 ……王太子に直接毒入り紅茶を飲ませてしまったサンドラは、首謀者の父であるセルゲナフやその妻、妹などと共に裁判を受け……刑は先日、彼の目前で執行された。

『――カシウス様! 私と永遠の愛を誓って下さったのでは無いのですか! どうか、どうかお助け下さい! お慈悲を――!』
『ふ、ふざけないでよ……どうして本物の聖女の私達が! エ、エルが悪いんだ……全部あの子が、あの子が……。罰当たりどもめ、この縄を解きなさいよ!』
『救国の聖女の家系にあるわしらが、なぜこのような仕打ちを受けねばならん、くそ、離せ! 離せぇぇぇぇぇ――!!』

 島流し……後ろ手を縄で縛られて連行される彼らの行く先は名もなき離島だ。生活物資が不足した未開の地に放逐されれば彼らのような貴族が生き抜くことは実質不可能。事実上の死罪と同等の処分といってよいだろう……。

 ――だが、彼が考えていたのは全く別のことであった。

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