【WEB版】空っぽ聖女と婚約破棄されましたが、真の力が開花したのであなたなんてこちらから願い下げです!~義姉に全て奪われたけど、銀竜公爵からの溺愛が待っていました~


 冷え切った石壁に背中を預ける第二王子ロベルトは、階段を叩く足音に目を開く。

「……どうであった? ルビディル」
「どうもこうも……あそこまでねじ曲がっておられたとは、いっそ清々しい程ですな」

 階上から姿を現したルビディルに、ロベルトは肩をすくめた。

「昔からああだったよ、あいつは。欲しいものは必ず自分の思い通りにしなければ気が済まない……。あんな奴がもし王と成ったら、隣国の姫君でも見染めて、侵略戦争を仕掛けたりしかねないんじゃないか……ハハ」

 冗談だが、冗談では済まないようなことを言う彼の乾いた笑いが室内に響き、宰相は首を振った。

「馬鹿馬鹿しいこと甚だしい……ですがそれもこれまでです。……王太子殿はご自身で破滅への道筋を選んでしまわれました」

 ルビディルはロベルトに耳打ちした。
 彼の口から話されたのは、もちろん王太子の計画の概要だ。

< 269 / 341 >

この作品をシェア

pagetop