【WEB版】空っぽ聖女と婚約破棄されましたが、真の力が開花したのであなたなんてこちらから願い下げです!~義姉に全て奪われたけど、銀竜公爵からの溺愛が待っていました~
 窓の外に出した顔をケイティが引っ込める。
 外からも、続々と現れだした覆面の男達が油断なくこちらを伺っていた。

「下手な抵抗はよしていただきたい。そちらが動かなければ、こちらも危害を加えるつもりもありませぬ」
「ちっ……」

 レクシオールは舌打ちしたが、手を掛けていた剣を結局抜くことはできなかった。

 音もなく御者たちを無力化した男達は手練れに見える……彼も二人の侍女もそこいらの兵士などに劣らぬ剣の腕前をしているが、さすがに数十人を相手に大立ち回りできる程ではない。何より、リュミエールを守らなければならないのだ。

「……あ、あなた達は、何者なのです? 私達はともかく、せめてこの二人だけでも解放してあげてくれませんか?」

 リュミエールが尋ねたが、男は沈黙したまま首を振った。

 ただ、男達から感じるのは職務に準ずる覚悟のようなもので、けして金銭や女目当てでは無いことは察せられる。このリーダー格の男以外誰一人として話そうとせず、厳しい統制が敷かれている様子だ。

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