【WEB版】空っぽ聖女と婚約破棄されましたが、真の力が開花したのであなたなんてこちらから願い下げです!~義姉に全て奪われたけど、銀竜公爵からの溺愛が待っていました~
 それでもだんまりを決め込むカシウスに、国王は重い溜息をつくと、反対側に控えた第二王子ロベルトに命じた。

「ロベルトよ、先日の件のあらましを報告せよ」
「ハッ! ハーケンブルグ公爵が王都に赴いた折、何らかの不埒者による襲撃を受けました。彼らは連れ去られた王都南西部の廃村で、公爵閣下の殺害を試みましたが、偶然にも周辺にて軍事演習を行っていた王国軍の兵士により捕縛。そして彼らからの証言により、この事件の首謀者が判明いたしました」

 ざわついた広間の中で、ロベルトの声は大きく響き渡り、視線が彼の元へと集中する。

 そして彼は、その指を、己の兄に突きつけた。

「あなたですよ、兄上……いや、第一王子カシウス」
「ふざけるなっ!」

 カシウスは青くなった後、顔を赤黒くしてロベルトの言葉に反発した。

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