【WEB版】空っぽ聖女と婚約破棄されましたが、真の力が開花したのであなたなんてこちらから願い下げです!~義姉に全て奪われたけど、銀竜公爵からの溺愛が待っていました~
金属より柔らかな輝きを持つひんやりとしたそれは、滑らかな手触りで彼女の手を受け入れてくれた。
竜は少しだけ目を見張ると、ゆっくりとまばたきして空を見上げる。
「……ここへ来れたのなら、きっとあなたは特別な……もしかしたら、聖なる血筋を受け継いでいるのかも知れない。ならば、祈って欲しい……この魂が天に帰り再び生を受けた時に、あの人の生まれ変わりとどこかでまた会えることを」
「ええ……そんなことでいいなら毎日だってさせていただくわ。だから……その方のお名前と、あなたのお名前を教えてくださるかしら」
すると銀の竜は、その目を穏やかにして少女に感謝を告げ名を明かした。
「ありがとう。……彼女の名前はアリエステル。そして私の名前はレグリオ……。そなたの名は?」
(アリエステル。どこかで聞いたような気がする……けど)
少女はその言葉の途中で閃いた何かをつかみ取ることは出来なかった。
そして、彼女が竜に名前を伝えようとした時、全ての音が遠ざかりだす。
おそらく、別れの時が近づいているのだ――そんなことを思いながら、リュミエールは必死に声を張り上げた。
「――私はフィースバーク家のリュミエール! レグリオ……必ず私、毎日祈り続けるわ、あなたとその人がいつかどこかでまた出会えることを! そうすれば神様もきっとお聞き届けになるに違いないから、心配しないで!」
視界が光に満ち、白にかき消されてゆく。
蒼玉の瞳が最後に緩やかに弧を描くのを見て少女は少しだけ安堵し……消えゆく意識の中で二人の名前をなんとかつなぎとめる。
(忘れない……アリエステルと、レグリオ……アリエステルと、レグリオ)
全てを消し去ってしまう最後の時まで、リュミエールと名乗った少女はそればかりをずっと繰り返していた。
竜は少しだけ目を見張ると、ゆっくりとまばたきして空を見上げる。
「……ここへ来れたのなら、きっとあなたは特別な……もしかしたら、聖なる血筋を受け継いでいるのかも知れない。ならば、祈って欲しい……この魂が天に帰り再び生を受けた時に、あの人の生まれ変わりとどこかでまた会えることを」
「ええ……そんなことでいいなら毎日だってさせていただくわ。だから……その方のお名前と、あなたのお名前を教えてくださるかしら」
すると銀の竜は、その目を穏やかにして少女に感謝を告げ名を明かした。
「ありがとう。……彼女の名前はアリエステル。そして私の名前はレグリオ……。そなたの名は?」
(アリエステル。どこかで聞いたような気がする……けど)
少女はその言葉の途中で閃いた何かをつかみ取ることは出来なかった。
そして、彼女が竜に名前を伝えようとした時、全ての音が遠ざかりだす。
おそらく、別れの時が近づいているのだ――そんなことを思いながら、リュミエールは必死に声を張り上げた。
「――私はフィースバーク家のリュミエール! レグリオ……必ず私、毎日祈り続けるわ、あなたとその人がいつかどこかでまた出会えることを! そうすれば神様もきっとお聞き届けになるに違いないから、心配しないで!」
視界が光に満ち、白にかき消されてゆく。
蒼玉の瞳が最後に緩やかに弧を描くのを見て少女は少しだけ安堵し……消えゆく意識の中で二人の名前をなんとかつなぎとめる。
(忘れない……アリエステルと、レグリオ……アリエステルと、レグリオ)
全てを消し去ってしまう最後の時まで、リュミエールと名乗った少女はそればかりをずっと繰り返していた。