【WEB版】空っぽ聖女と婚約破棄されましたが、真の力が開花したのであなたなんてこちらから願い下げです!~義姉に全て奪われたけど、銀竜公爵からの溺愛が待っていました~
 シュミットルは、リュミエールの姿を見て驚いた様子でいる。

「フィースバークの? そうなのかしら……」
「ええ、実はその姿が肖像画にて残されておりましてな……こちらにおいで下さいますか?」
「本当に? 是非見てみたいわ!」

 リュミエールはそんな話を聞かされたことが無かったので……レクシオール達を伴い、驚きながら彼の後ろへと続く。

 そして案内されたのは小窓の開く、静けさに満ちた一つの部屋であった。

 壁の中央にはリュミエールの背丈の半分くらいの大きさの額縁が掛かっている。その中では、椅子に座った一人の女性が品よく微笑んでおり、それは確かにリュミエールと同じ色の髪と目をしていた。

「まあ……本当に私と同じような瞳と髪をしているのね。でも、私こんなに美人じゃないわ」
「そんなことはございませんよ、公爵様もそうお思いでしょう?」
「む……ま、まぁな。リュミエールの顔立ちは俺は嫌いではない。少し鼻は小さいが丸くて可愛らしい顔で……おい、聞いているのか!?」
「え、は、はい……! でも今はこちらの方が気になります!」

 恥ずかしい思いをしながら褒めたつもりなのに流され、レクシオールは苦い顔をして……二人の老人は穏やかに表情を崩す。

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