【WEB版】空っぽ聖女と婚約破棄されましたが、真の力が開花したのであなたなんてこちらから願い下げです!~義姉に全て奪われたけど、銀竜公爵からの溺愛が待っていました~
「おお、そうだ……! シュミットルよ、あれを御嬢様にお渡ししなければ」
「そうであったな!」

 セルバンが何か思いついたように手を打ち鳴らし、シュミットルが部屋の書棚からごそごそと取り出したのは、一つの箱。

 それに見覚えがあるかのようにレクシオールは目を見開いた。

「む、それは……」
「フィースバーグの家はもう無くなり、継ぐ者はおりませんが……これはあなた様がお持ちになるのがふさわしいと、セルバンの話を聞いてそう思っていたのですよ……」
「……あっ!」

 彼がその箱を開けると、そこには収まるのは一つの指輪で――中心に輝くのは、大粒の深い色をした蒼玉(サファイア)である。

 そしてその意匠も……。

「レックス、見て下さい! この指輪とそっくり……」
「本当だな……もしかしてこれは」

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