【WEB版】空っぽ聖女と婚約破棄されましたが、真の力が開花したのであなたなんてこちらから願い下げです!~義姉に全て奪われたけど、銀竜公爵からの溺愛が待っていました~
 リュミエールはレクシオールと顔を見合わせ、並べた二つ指輪の裏に注目する。

『―レグリオからアリエステルへ、永遠の愛を込めて―』
『― リエ テ からレ リオへ、永 の愛を めて―』

 セルバンとシュミットルもそれらを覗き込んだ。

「ほう……これは、公爵家にも同じものがあったとは……」
「そうか……やはりあの伝承は真実であったのだな」

 感慨深げにシュミットルは頷くと、書棚から古い書物を取り出してそれを丁寧な手つきでめくり出した。

「私どもには代々こう伝えられております。五百年以上もの昔、このリーベルト王国は複数の隣国から同時に攻め込まれ、亡国の危機に瀕していた。そんな時に生まれたのが、神の奇跡をその身に宿した一人の娘と、一体の古代の竜族の末裔だったのだと……」

 運命の導きにより出会った一人と一頭は世界各地の戦を治めて周り、やがてリーベルト王国には平和が少しずつ戻ってゆく。

 古代竜はその内に聖女を愛し、自らを人の身へと()()()術を覚え、やがて二人の間には一人の男児と女児が生まれた。

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