【WEB版】空っぽ聖女と婚約破棄されましたが、真の力が開花したのであなたなんてこちらから願い下げです!~義姉に全て奪われたけど、銀竜公爵からの溺愛が待っていました~
 しかしその後起こった最後の激戦で、二人はそれぞれ別の人間にその子らを預け、戦火に身を投じることになる。聖女はその際に命を落とし、竜は戦いを収めた後悲しみに暮れ……子供達と再び会うことなく何処かへと飛び去ってしまったのだという。

「その後、残された二人の御子は……一人は聖女の生家であったフィースバーク家に戻され、もう一人は聖女達と懇意にしていた友人の元に預けられて、それぞれ別の土地で救国の英雄の末裔として特別な恩賞を受け、大きくまつられることになったと……そう記載されています」

 厳かにそう告げたシュミットルは、リュミエール達に書物をゆっくりとめくってみせてくれる。

 言葉は古いものでところどころわからなかったが、その中には、二人の子供を抱えて微笑み合う二人や、聖女を失い嘆く男の姿と、いずこかへと羽ばたいてゆく竜の姿などが描かれており、リュミエールの胸は小さく締め付けられた。

 本が閉じられ、シュミットルは大事そうにそれをしまうと……リュミエールに伝えてくれた。

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