【WEB版】空っぽ聖女と婚約破棄されましたが、真の力が開花したのであなたなんてこちらから願い下げです!~義姉に全て奪われたけど、銀竜公爵からの溺愛が待っていました~
 リュミエールはそれをしまうと、懐から二つの指輪を取り出した。

「……せっかくだから、二人の為に祈りましょう。レックス、手を出して頂けますか?」
「ああ、ならば、お前の指には俺が()めよう」

 二人はお互いの指にそれぞれの瞳とは異なる色の指輪を付けあい、そして石碑の前に跪く。

(遅くなってしまってごめんなさい、レグリオ。結局、あなたのいう聖女の生まれ変わりは見つけられなかったわ……せめて、こうして祈らせてちょうだいね)

 レックスの真剣に祈る姿を瞳に収めた後、リュミエールも両手をにぎり一心に祈りを捧げる。

 しばらくの間そうしていると……頭がぼんやりとして、意識が遠くなっていった。

『――少しの間だけ、体を貸してちょうだい。ごめんね……』

 そんな声が聞こえた後……リュミエールは自分の体を動かせなくなったが、恐怖は感じなかった。

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