【WEB版】空っぽ聖女と婚約破棄されましたが、真の力が開花したのであなたなんてこちらから願い下げです!~義姉に全て奪われたけど、銀竜公爵からの溺愛が待っていました~
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「――御嬢様、本日は王太子様の生誕記念パーティーで御座いますよ、早く起きられませ!」
カーテンがシャッと開き、窓から差し込む日差しにリュミエールの瞼は開けられた。彼女のぼんやりした瞳の上に映るのは、若い侍女の笑顔。
目の前で快活に笑うケイティ・ラーセルというこの若い女性は……ラーセル子爵家から数年前に行儀見習いで送られて来た、今ではリュミエールが最も信頼を置く世話係の一人である。
と言っても彼女の世話をする者はケイティとあと一人、セルバンという老執事がいるだけで、他の者はほとんどリュミエールと関わろうとはしない。
笑顔が眩しいケイティに背中を支えて起こしてもらい、リュミエールは目をこする。
(久しぶりにあの夢を見たわ。ええレグリオ、覚えていますとも。アリエステルとあなたがどこかでまた巡り合えますように、神様どうか、あの竜の願いを聞き届けてあげて下さいまし……)
ベッドの上でぎゅっと両手をにぎり、目を瞑った少女の背中をケイティが遠慮なく叩く。
「さあさ、お祈りはその辺りで! 早く身支度をしませんと。今日は婚約者であらせられる御嬢様の記念日ともなるでしょうから!」
「こほん……わかっているけれど、そう急かさないでちょうだい……」
「――御嬢様、本日は王太子様の生誕記念パーティーで御座いますよ、早く起きられませ!」
カーテンがシャッと開き、窓から差し込む日差しにリュミエールの瞼は開けられた。彼女のぼんやりした瞳の上に映るのは、若い侍女の笑顔。
目の前で快活に笑うケイティ・ラーセルというこの若い女性は……ラーセル子爵家から数年前に行儀見習いで送られて来た、今ではリュミエールが最も信頼を置く世話係の一人である。
と言っても彼女の世話をする者はケイティとあと一人、セルバンという老執事がいるだけで、他の者はほとんどリュミエールと関わろうとはしない。
笑顔が眩しいケイティに背中を支えて起こしてもらい、リュミエールは目をこする。
(久しぶりにあの夢を見たわ。ええレグリオ、覚えていますとも。アリエステルとあなたがどこかでまた巡り合えますように、神様どうか、あの竜の願いを聞き届けてあげて下さいまし……)
ベッドの上でぎゅっと両手をにぎり、目を瞑った少女の背中をケイティが遠慮なく叩く。
「さあさ、お祈りはその辺りで! 早く身支度をしませんと。今日は婚約者であらせられる御嬢様の記念日ともなるでしょうから!」
「こほん……わかっているけれど、そう急かさないでちょうだい……」