【WEB版】空っぽ聖女と婚約破棄されましたが、真の力が開花したのであなたなんてこちらから願い下げです!~義姉に全て奪われたけど、銀竜公爵からの溺愛が待っていました~
「ハ、ハハ、ハーケンブルグ公爵閣下、先日は助けて頂きまことにありがとうございました。私、フィースバーク侯爵家の第三女、リュミエールと申します。この度は婚約を結んで下さり、感謝の念に()えません……色々至らぬところもありましょうが、あなたのご期待に沿うことができますよう、精一杯努力させていただきます……」
「ふん……レクシオール・ハーケンブルグだ。そこの栗毛の女好きと同じように、レックスでもレクシオールでも好きに呼ぶがいい。だが、感謝も努力も必要ない……俺のそばに(たたず)んでいるのがこれからのお前の務めだ。それ以外はいらん」

 ぽか~ん……と、ケイティと二人してレクシオールを見つめてしまったリュミエール。その様子に慌てたフレデリクがレクシオールをたしなめた。

「ちょっとレックス! それはあんまりだろう! 彼女はお飾りの人形じゃないんだよ!?」
「そんなことはわかっている……だがな、仮にも貴族として結ばれようというのなら、それぞれの務めをまず果たさねばなるまい。俺は彼女に、心の交わりを求めてはいない」
「閣下! それはもがっ!?」
「ケイティ、だめよ!」

 彼女の発言は許可されていないので、あわてて口をふさぐリュミエール。
 だが意外にも公爵は、その先を促す。

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