【WEB版】空っぽ聖女と婚約破棄されましたが、真の力が開花したのであなたなんてこちらから願い下げです!~義姉に全て奪われたけど、銀竜公爵からの溺愛が待っていました~
 卒業後、彼は何度か適当な家格の女性からの婚約を受け入れはした……でも、全て上手く行かなかったんだ。

「――あなたは一生私の方を見てはくださらないのね……」
「――女は求められるが無いのを分かっていて、殿方と一緒になることはできないのですわ」
「――触れても頂けないなんて、あなた様は、ハイネガー伯爵さまの方がお好きなんだわ!」

 ――最後のなんてひどくない? 笑っちゃうよね、アハハ。
 最初にレクシオールが婚姻に幸せなど求めていないと説明したはずなのに、女性たちは勝手に彼に見切りを付けて出て行ってしまったり、他に男を作ってしまったりする。

 いくら鈍感な彼でも、さすがこのやり方では駄目なのだということはわかったみたいだけど、それでも頭の固い彼はそう簡単に変わることは出来なかった。

 僕みたいに裏表が幾らでも作れる性格だったら楽だったのにね。

 しかも、先代が逝去するのが早かった為、レクシオールは早々にその地位を継ぐことになり、その重責は彼に女性に溺れている暇があるならば、領主としての責務を全うせよという……ある意味強迫観念に似た思考を生ませてしまったんだ。彼女の母のこともあったしね……。

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