【WEB版】空っぽ聖女と婚約破棄されましたが、真の力が開花したのであなたなんてこちらから願い下げです!~義姉に全て奪われたけど、銀竜公爵からの溺愛が待っていました~
 レクシオールは平手をテーブルに叩きつけて怒鳴った。
 それはそれで面白そうだけどね……顔は綺麗だから、案外ドレス姿とかも似合うんじゃないだろうか。

「ぶふっ……」
「なんだいきなり、おかしな奴だな……」
「クク、なんでもない。あ~こほん、彼女に仕事だと言って婚約を押し付けるのであれば、君の方が彼女にそれを指導する義務、少なくともそれに協力する姿勢はあってしかるべきなんじゃないかな?」
「ふむ……一理ある。が……」
(きたきた……)

 彼は机の上で組んだ手の上にあごをのせ、何とも言えない視線で僕を見てくる……その困ったような仕草がわりと僕は好きだった。意地っ張りの弟がいたら、きっとこんな感じなんだろうな。

 つい仕方ないなと世話を焼いてしまいそうになるけれど、もうそろそろ自重しないといけない……いつまでもこんな風にしてられないからね。

「ダメダメ。今回ばかりはこれ以上協力できないよ……なるべく彼女達の様子を見に来るようにはするけど、僕も君もいつまでもこうしてつるんでるわけにもいかないんだ。結婚というのは貴族にとっては領地の安寧の為の大事な仕事でもあるから、やっぱり今回はあくまで君自身が頑張らないといけないだろうね。ま、パメラと上手くいかないようならまた相談に乗るよ」
「……ああ、頼む……」
(そこまで深刻になることは無いだろうに……やっぱり面白い奴だな、君は)

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