【WEB版】空っぽ聖女と婚約破棄されましたが、真の力が開花したのであなたなんてこちらから願い下げです!~義姉に全て奪われたけど、銀竜公爵からの溺愛が待っていました~
 彼女をカナリアのような黄色いドレスに着せ替えさせて小さな広間に連れ出した後も、私の心の内にはどう接すべきかまだ迷いが生じていた……。

 目の前の椅子に座った娘は、穏やかそうに微笑んでこちらを見ている。

(大丈夫なのかしら……いつも通りに厳しく接したりして泣かせてしまったり……)

 そこでいやいや、と私は首を振る。

(ここは託児所ではないのよ、パメラ! 一流貴族としてのマナーを覚えていただく為の、女性にとっての戦場なのだから……!)

 ダンス、ピアノやヴァイオリンの演奏、立ち居振る舞いやテーブルマナーなど覚えることはいくらでもある。残念ながら、語学や歴史などについては私は門外漢であるので、必要であるならば専門の教師を手配せねばなるまい。

 そして、もし今回も以前と同じように失敗するのならば、この厄介な任から解かれることになるかも知れない。

 そうなったらそうなったで別に構わない……何かの罰や、また下働きに戻されることもあるかも知れない。けれど、騎士である父は「信義にもとるような行いをせぬよう、自らを戒めよ。それは必ず自身に返って来る」とおっしゃったのだ。私は父からの教えを大事にしており、それを曲げてまで職務にしがみ付くべきではないと思っている。

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