【WEB版】空っぽ聖女と婚約破棄されましたが、真の力が開花したのであなたなんてこちらから願い下げです!~義姉に全て奪われたけど、銀竜公爵からの溺愛が待っていました~
「ふむ……では、他国の言語は扱えますか?」
「共通語以外で扱えるのは西方ペルタ語と、ロシテル語と、現ノーゼリア語くらいしか。他はいくつかが読み書きでなら意思疎通ができる位かしら……?」
「十分でございます……お見それいたしましたわ」

 大陸共通語が主流になって以来、このように複数言語を扱える人間は多くは無い。パメラ自身もこの国と親交の深いロシテル語位しか扱えない……この少女は見た目に反して中々才媛であるようで、素晴らしく思う。

 だが、それみたことかと世話係のケイティと言う娘が自慢げな顔で口の端を上げているのは少し腹立たしい。なるべく見ないようにして次の確認に移る。

「コホン……では、お得意な楽器などはございますか?」
「あの、私ピアノは苦手なの。ヴァイオリンとフルートは少しなら」
「なら、私が伴奏いたしましょう」

 ケイティが手を挙げ、それならと私達三人は連れ立って小音楽室に移動する。
 公爵家にも専門の楽団がいるが、そちらはもう一つの大きい部屋を主に使う為、こちらはいつも空いているのだ。

「ケイティ、凄いわ! 美しい楽器がこんなに……よく手入れされて」
「さすが公爵家の音楽室でございますね……! まぁあの古ぼけた楽器たちも愛着があって、それはそれで良かったのですけどねぇ」
「ふふ、お好きな物をお使いくださいな……」

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