【WEB版】空っぽ聖女と婚約破棄されましたが、真の力が開花したのであなたなんてこちらから願い下げです!~義姉に全て奪われたけど、銀竜公爵からの溺愛が待っていました~
 さすが遊び好きの美男子と、上級貴族令嬢の教師役の侍女だ。見事なステップを鮮やかに踏んで見せ、その様子にリュミエールは感心して見惚れてしまう。

 その様子に触発されたのか……レクシオールも仏頂面を更に険しくし、リュミエールの背中を軽く叩いた。

「ぼさっとしているな! 次で入るぞ……3・2・1――!」
「あっはっ、はいっ!」

 そして彼女の腕を強く引き、勢いよく広間の中央に躍り出て――輪っか状に腕を組んだ二人は、ゆったりと体を支え合い動き出す。

 そこまでは良かったのだが……。

 ――ぎゅむっ。

「おい……」
「も、申し訳ありません!? 間違えました……」
「足をどかせ」

 リュミエールはレクシオールのリードに対して真逆に反応して彼の革靴を柔らかく踏みつけ……レクシオールの額に三本目の皺が寄る。

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