【WEB版】空っぽ聖女と婚約破棄されましたが、真の力が開花したのであなたなんてこちらから願い下げです!~義姉に全て奪われたけど、銀竜公爵からの溺愛が待っていました~
 レクシオールが机を拳で叩き目を剥くと、フレデリクはいかにも楽しそうに白い歯を見せ、笑って答える。

「気づいていなかったのかい? ずっと前に酔っぱらって自分から白状してたじゃないか……他にも色々楽しい話を打ち明けてくれてたよ? 幼少の頃は皆に可愛がられていたみたいじゃないか、レクシィちゃん?」

(((レクシィちゃん……???)))

 疑問符を浮かべた女性陣が何か言う前にレクシオールは立ち上がると、額に血管を浮き上がらせて怒鳴った。

「――っ貴様ぶちのめすぞ! 学生時代の素行の悪さをばらされたいか!」
「いいよ別に……話されて困ることでもないしねぇ」
「……ああもう、黙れ! くそ、こいつと同じ学校に入学したのが間違いだった!」

 得意そうに胸を張るフレデリクにレクシオールは言葉を詰まらせ、乱雑に食事を再開する。腹を立ててそのまま出て行かない辺りが律義さを感じさせて、妙に微笑ましい。

< 94 / 341 >

この作品をシェア

pagetop