魔王の側近、妖怪と出会う【転生したら、魔王の側近でした×都の剣】
「ルーチェ!」
クラルたちと再会を果たしてから数日後。ルーチェが神社の縁側に座ってぼうっとしていると、近くからルーチェにとって聞き馴染みのある声がした。
「クラル様……」
「お、何か分かったのか?」
境内を掃除していた葉月と沙月、そして外で遊んでいた妖怪たちは一斉にクラルたちに近づく。
クラルは「これを見て」と言って、小脇に抱えていた本を開くととあるページをルーチェたちに見せた。誰かの手記なのだろうか、手書きで文が書かれている。
沙月は、見た事のない文字に「何?この文字……」と本を見つめる。
「僕らの世界での文字だよ。代わりに、僕が読むね」
ルーチェはそう言うと、クラルから本を受け取ると息を吸った。
「我々ディスペア一族は、代々より呪具を封印し続けている。その呪具には、恐ろしい力がある。触れたものに、様々な呪いがかかる。このことを後世に残すため、私が見た限りの呪いを綴ろうと思う。ある者は性格が豹変し、ある者は呪具に体を乗っ取られ、ある者はモンスターへと姿を変えた」
そして、ルーチェはペラリとページを捲る。
「モンスターへと変わった者は、どうなったのかは分からない。誰かに倒されたか、あるいは今もどこかを彷徨っているのだろう。もし、呪具に選ばれた者がいるのであれば、その者はどうするのだろうか?呪いの謎は深まるばかりである」