魔王の側近、妖怪と出会う【転生したら、魔王の側近でした×都の剣】

嵐猫は無言でルーチェの話を聞いていると、ルーチェは「急にごめんね。そろそろ、寝ようか」と言って立ち上がった。



「沙月ちゃん、今日も可愛いね～」

それから数日後の朝、ルーチェは黄色のアロハシャツに紺の袴を穿いた男性のスサノオが沙月に抱きついている光景を見て、戸惑いを隠せないでいた。

「スサノオ！沙月から離れろ！」

そんなスサノオの姿を見た葉月は、スサノオを蹴り飛ばす。次に嵐猫が風を起こして、部屋からスサノオを放り出した。

「いたた……あ！君が異世界から飛ばされてきた子！？僕、スサノオって言うんだ。君、男の子なのに可愛いね！」

「は、はぁ……どうも。ルーチェです」

部屋に飛び込んできたスサノオにギュッと両手を握られたルーチェは、戸惑いながらも自己紹介をする。

「そっか、君がルーチェくんだね！今、君に会わせたい人がいるんだけど……外に出てごらん」

パッとルーチェから手を離して、スサノオはニコリと笑った。ルーチェは、言われた通りに神社の外に出る。

『主人、探しましたよ！』

空からそんな声が聞こえてきて、ルーチェは空を見上げた。空には、巨大化した八咫烏が飛んでいる。

「あれは……八咫烏か？」

空を見上げながら、妖怪の火影が呟いた。

「八咫烏……どうして、ここに？」

地面に着地した八咫烏にルーチェが問いかけると、「八咫烏だけじゃねぇよ」と声が聞こえてくる。