魔王の側近、妖怪と出会う【転生したら、魔王の側近でした×都の剣】
「何か、思い当たることでもあるの?」

沙月が問いかけると、ルーチェは無言で頷いた。そして、異世界に飛ばされる前の出来事を話す。

「呪具の使い手が邪魔……?一体、どういう……」

ティムは首を傾げ、クラルは何かを考え込む。その様子を、ルーチェは無言で見つめていた。

「スーさん、何か分からないのかい?」

眠気を無理やり飛ばして外に出てきた妖怪の朧が、スサノオに問いかける。スサノオは「こればかりは、僕も分からない……」と首を横に振った。

「…………そういや、父様からこんな話を聞いたことあるな……」

何かを思い出したかのように、クラルが話し出す。

「ルーチェの持つ呪具は、代々僕の家で封印されていたんだけどね?今から数百年前、その呪具の封印を解いた者がいた。そいつは呪具に取り込まれてモンスター化し、呪具は再び封印されたものの今でもモンスターとして彷徨っているらしい……って」

「その話が、今回の件と何か関係あるのか?」

葉月がクラルに問いかけると、クラルは「分からない。でも、関係がある気がしてならないんだ」と返した。

「……アーサー、ティム。一旦帰るぞ……僕らで、その件について調べてみるよ……それと、八咫烏はここに置いておく。八咫烏の主は、ルーチェだからね」

クラルはそう言うと、スサノオに頼んで元の世界に帰っていった。
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