魔王の側近、妖怪と出会う【転生したら、魔王の側近でした×都の剣】
「クラルさん、そろそろ休んだ方が……」
クラルたちが元の世界に帰ってきて、数日が経った。クラルは、あれから館に保管されている本を読み漁っていた。
「……」
クラルの手伝いで、いつも以上に館を出入りしているティムが声をかけても、クラルはページを捲る手を止めなかった。
ーークラル様は……ルーチェ様のことになると、我々が手を付けられないくらい無理をするんですよ……。
ティムは、門番であるリルの言葉を思い出しながら、ティムはクラルをチラリと見る。
(ルーチェのことが心配なのは分かるけど、寝不足になるまで読み漁らなくても……ルーチェは、今沙月さんたちが預かってくれてるし……)
クラルは本を読み終えたのか、本を閉じた。しかし、クラルはそのまま本に頭を乗せて眠ってしまう。
「……ティム、クラルさんが探してるのって……これじゃないか?」
立ちながらページを捲っていたアーサーは、とある記事を見つけて手を止めた。ティムは、アーサーが見ているページを覗く。
「多分、そうだと思う……クラルさんに聞きたいところだけど……少し寝かせてあげようか」
「リルさんから聞いたけど、クラルさん……寝不足だって言ってたな」
2人はそんな会話をしながら、クラルを見つめた。