麻衣ロード、そのイカレた軌跡❷/赤き巣へ
麻衣、”名策士”相川夏美に挑む~赤き攻防の幕開け
その1
夏美
亜咲とケイコが襲撃された翌日…
夕方5時前には、嵯峨ミキさんとのミーティングを終えていた
今回は、南玉側から私のほか、現総長の刃根達美と補佐控えの矢吹鷹美が同席した
この席では事実上、ミキさんのカウンターパートナー引継ぎを兼ねていた
達美と私が引退後は、荒子体制でも、この鷹美が”紅組”折衝の窓口となる…
それは特に、私の強い意向だったといえる…
4人でのその場は、終始、和やかなものだったわ
事前に達美とは、ミキさんの方から亜咲襲撃の話がない限り、こちらからは触れないことにした
とりあえず、鷹美には伏せといて、明日の幹部会前に状況を見た上で、話そうと…
そして、ミキさんへはこの後、私が話すことになっていた
...
「あの、ミキさん、お茶でもどうですか?時間、大丈夫であれば…」
「ええ、大丈夫よ。デートする相手もいないしね(苦笑)」
ミキさん、男性のハードル高いからなあ…
...
「しかし、刀根さんは豪快な人ね。あなたとはいいコンビだわ。それに、矢吹さん…、あの子はいいわね。ちょっと、私と似てるとこあるみたいだし…」
ミキさんは、達美とも鷹美とも面識はあったが、じっくり話をしたのは今回が初めてだったんだ
喫茶店に入って、しばらくはこんな会話をしていた
私は話が一段落したところで、切り出したんだけど…
...
「ミキさん、実は…」
「どうしたの?あらたまって」
コーヒーカップを手にしたミキさんは、いつものポーカーフェイスだった
「昨日、ウチの高原亜咲が襲われたんです。自宅前で、バイク乗ってる女に…」
「え…?」
やはり、ミキさんの耳にはまだ入っていなかったんだ
「それ、さっきの席でなぜ言わなかったの?あとの二人は知ってるの?」
「鷹美には言ってません。今のところ、南玉では達美と私の二人だけです、このこと知ってるのは。それと…」
私は、亜咲はかすり傷だったが、ケイコがケガで入院したことなど、状況を細かく告げた
「ケイちゃんも、とんだ災難に見舞われて気の毒に…。まあ、今の話を聞く限りじゃあ、南玉とは敵対勢力の計画的犯行と考えるのが自然なんでしょうけど…」
ミキさんの見立ては私と一緒だった
...
私は、すでに昨夜、南部さんにもこの件は話したことを告げ、今日の午前中に会ったことも正直に言った
「…今、こんな情勢下だから、いつ何が勃発しても不思議ないけど…。引退が周知の高原さんを標的にするなんてね…。うーん、なんかね…」
「ミキさん…、南部さんの話では、砂垣一派の動きはかなり不自然らしいんですよ。今日も突然、緊急集会が招集されたって…。高本さんから聞いたそうです」
私が何気なく言った後、ミキさんの顔色が一変したのが、はっきりわかった
「…相川さん!明日の幹部会、ひょっとすると、あなたたち窮地に追い込まれるわ。つるし上げにされる可能性大よ」
「…」
私は絶句した
「とにかく矢吹さんには、今夜中に話した方がいいわ。明日の局面によっては、分断される。彼女を持っていかれたら、あなたたち、きれいにはに引退できないわよ!」
「はい…。あの、明日、幹部会の後、また会ってくれませんか?それで、今後の件も…」
「わかったわ。紅子さんとすぐ連絡取って、今夜、電話する」
さすがだ…
この人はいざとなると、ハンパじゃない…
夏美
亜咲とケイコが襲撃された翌日…
夕方5時前には、嵯峨ミキさんとのミーティングを終えていた
今回は、南玉側から私のほか、現総長の刃根達美と補佐控えの矢吹鷹美が同席した
この席では事実上、ミキさんのカウンターパートナー引継ぎを兼ねていた
達美と私が引退後は、荒子体制でも、この鷹美が”紅組”折衝の窓口となる…
それは特に、私の強い意向だったといえる…
4人でのその場は、終始、和やかなものだったわ
事前に達美とは、ミキさんの方から亜咲襲撃の話がない限り、こちらからは触れないことにした
とりあえず、鷹美には伏せといて、明日の幹部会前に状況を見た上で、話そうと…
そして、ミキさんへはこの後、私が話すことになっていた
...
「あの、ミキさん、お茶でもどうですか?時間、大丈夫であれば…」
「ええ、大丈夫よ。デートする相手もいないしね(苦笑)」
ミキさん、男性のハードル高いからなあ…
...
「しかし、刀根さんは豪快な人ね。あなたとはいいコンビだわ。それに、矢吹さん…、あの子はいいわね。ちょっと、私と似てるとこあるみたいだし…」
ミキさんは、達美とも鷹美とも面識はあったが、じっくり話をしたのは今回が初めてだったんだ
喫茶店に入って、しばらくはこんな会話をしていた
私は話が一段落したところで、切り出したんだけど…
...
「ミキさん、実は…」
「どうしたの?あらたまって」
コーヒーカップを手にしたミキさんは、いつものポーカーフェイスだった
「昨日、ウチの高原亜咲が襲われたんです。自宅前で、バイク乗ってる女に…」
「え…?」
やはり、ミキさんの耳にはまだ入っていなかったんだ
「それ、さっきの席でなぜ言わなかったの?あとの二人は知ってるの?」
「鷹美には言ってません。今のところ、南玉では達美と私の二人だけです、このこと知ってるのは。それと…」
私は、亜咲はかすり傷だったが、ケイコがケガで入院したことなど、状況を細かく告げた
「ケイちゃんも、とんだ災難に見舞われて気の毒に…。まあ、今の話を聞く限りじゃあ、南玉とは敵対勢力の計画的犯行と考えるのが自然なんでしょうけど…」
ミキさんの見立ては私と一緒だった
...
私は、すでに昨夜、南部さんにもこの件は話したことを告げ、今日の午前中に会ったことも正直に言った
「…今、こんな情勢下だから、いつ何が勃発しても不思議ないけど…。引退が周知の高原さんを標的にするなんてね…。うーん、なんかね…」
「ミキさん…、南部さんの話では、砂垣一派の動きはかなり不自然らしいんですよ。今日も突然、緊急集会が招集されたって…。高本さんから聞いたそうです」
私が何気なく言った後、ミキさんの顔色が一変したのが、はっきりわかった
「…相川さん!明日の幹部会、ひょっとすると、あなたたち窮地に追い込まれるわ。つるし上げにされる可能性大よ」
「…」
私は絶句した
「とにかく矢吹さんには、今夜中に話した方がいいわ。明日の局面によっては、分断される。彼女を持っていかれたら、あなたたち、きれいにはに引退できないわよ!」
「はい…。あの、明日、幹部会の後、また会ってくれませんか?それで、今後の件も…」
「わかったわ。紅子さんとすぐ連絡取って、今夜、電話する」
さすがだ…
この人はいざとなると、ハンパじゃない…