麻衣ロード、そのイカレた軌跡❷/赤き巣へ
その11
夏美



やっぱり真澄たちと本郷麻衣は、何らかの接点はあるような気配がするわ

あの子、さっきもしおらしい発言でみんなを煙に巻いてるけど、あの目がすべてを語っているわよ

土佐原先輩のとりなしで、いったん休憩となり、みんなが一呼吸おいている最中、私と麻衣は視殺戦だ


...


真澄といづみは急進派の数人を集めて、何やらヒソヒソやってるわね

今度は何よ

今さら、何が飛び出しても動じないけど

気が付くと、トイレから戻った達美が隣の席に着いていた

大きく深呼吸をしてるわ、達美

そして、私の頬にくっつきそうなくらい顔を寄せて、小声で話しかけてきた

「なあ、夏美。鷹美がああいう対応となったら、私らも今日、決まりをつけた方がいいんじゃないか?」

「ダメよ!達美、今日はいったん持ち越すのよ。あの1年、間接的でも真澄らとは、何らか絡んでるわ。今日の結果をミキさんらと揉んでからにしないと、取り返しのつかないことになるわ」

私はきっぱり言い切った

ここで、達美と私の足並みが乱れたらお終いだし…

「うん…、まあ、土佐原先輩がうまく収めてくれるだろうから、そういうことなら、最後までその方針で行くか」

そこへあっこが他の守旧派メンバーを連れて、私らの席にやってきた


...



「先輩、鷹美はこのまま退席ということで帰りましたよ。甲斐先輩がうまく話してくれてますから、今日のところは辞任の意思を預かりで保留にしといてください」

「わかったわ。あっこ、この後も頼むわ。”あっち”はまだ”やる気”らしいから…」

私は、5人ほどでなにやら作戦会議中の急進派に視線を向けて、あっこ達に協力を仰いだ

「あいつら、荒子のいないとこで、自分たちの絵図を練ってるんですよ。代継ぎが済んだ後で、何も先輩らを追い込むことないでしょうに。全く、腹が立ちますよ!」

あっこは結構、テンション上がってる様子だが、正直、心強いよ





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