麻衣ロード、そのイカレた軌跡❷/赤き巣へ
その12
麻衣



木戸先輩たち、第2ラウンドでは”例のもん”出す気だわ…

フフ…、相川は背筋が凍るだろう

そうなれば、風向きは決する

いま囲ってる湯本先輩たちだってさ、いつまでアンタの側にいるか分かんないよ

今から相川は、生まれて初めての屈辱を、みんなの前で受けることになる

たっぷり味わってもらおうか…


...


「じゃあ、いいかな。一度、話を整理したいんだが…」

10分の休憩を終え、OBの土佐原先輩が口火を切った

「土佐原先輩、その前に、まだみんなに伝えるべきことがあるんですが…」

木戸先輩がまず立ち上がった

「ああ、そうか。この際だ、全部出し切ってからの方がいいな。真澄、じゃあ、頼む」

土佐原先輩のバトンを受け、きりっとした表情の木戸先輩は早速、”追及”を始めるようだ

「ここで公表するのは抵抗がありますが、南玉連合内での信頼感が揺らいでる今、どうしてもうやむやにできないので、あえて、この写真をここで出します」

出た!ついに…

木戸先輩の隣で、恵川先輩が立った

右手には1枚の写真が握られている

「この写真は、一昨日、墨東会の幹部である南部聖一さんと南玉連合相川補佐が、密会している現場を映したものです」

一瞬、シーンとした後、タメ息やら「えー?」「なに、あれ!」とかの言葉が交錯した


...


恵川先輩はその写真を、執行部席にいる相川の目の前に持って行った

同時に木戸先輩が大きな声で、相川に向かって尋問だよ

「夏美、それ、どういうこと?亜咲襲撃の二日後、なぜ墨東会の幹部と二人で会ってるの?」

相川のヤツ、机の前に置かれた愛しの彼とのツーショットを、瞬きもしないでじっと見てるわ

「どうなの?夏美!この一年、南玉のナンバー2に就いていたあんたには、説明責任があるのよ!」

「そうだ!きちんと説明してください!」

「どうなってんのよ!墨東会は、排赤の先頭にたってる敵じゃないのよ!」

急進派の合いの手が入ると、幹部会は一転して、ハチを突いた騒ぎになった

執行部席の相川は、口を真一文字に結んだまま、まだ写真と睨めっこだよ(笑)

となりの刃根総長と次期総長の荒子さんは、腕組みして正面を向いたまま動かない…


...


さあ、補佐さんよ、自他ともに認める策士なんだろ

自分に降りかかった熱い火の粉、払ってみろよ!

早くしないと火傷しちゃうぞ、ハハハ…




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