麻衣ロード、そのイカレた軌跡❷/赤き巣へ
その14
麻衣



うわー、木戸先輩、責めがエグイや

私、こういうの好きなんだよね

ゾクゾクしてきたわ…

いや、わくわくもしてる

相川から、果たしてどんなリアクションがでるか…

泣き崩れるかな?

それとも怒って、そのまま帰っちゃったりして

策士気取りの女の惨めな姿、とくと拝見するよ


...



写真から釘づけだった相川が顔を上げたぞ

さあ、どう出る…

と、その時…

「いいかげんにして下さい!真澄先輩、そんな写真を幹部会の席にまで持ち込んで、何が目的なんですか?第一、尾行しなきゃ撮れないような写真、どこから手に入れたんですか?相川補佐を問いただす前に、先輩、答えてくださいよ!」

相川が口を開く前に、執行部寄りの湯本先輩が、木戸先輩に喰ってかかったわ

「何言ってんのよ、あんた。何より、墨東の幹部と会ってるってことが、はっきりしたじゃないの!こんな重大事、ほっとけるわけないでしょ!」

木戸先輩もヒステリックに反論して、会議は大荒れになった

両派は真っ二つに割れ、罵声が飛び交ってる

わー、もう内紛だわ、南玉…

いいぞ…、猛れ、猛れ!

この都県境は、猛る女が発熱するホットスポットなんだしさ、ハハハ…


...



しかし、これを見かねたOB代表の大きな声が、会場内に響いた

「おい、みんな!ちょっと静かにしろ!冷静になれよ、なあ…」

うーん、土佐原先輩の一言で、みんな黙っちゃったよ

いざとなれば、こう言ったストッパー役が機能してる訳ね、南玉という組織は

ふん、その土台はヤワじゃないってことか…


...



「今日、代継ぎが正式に承認されっていうのに、みんな、何やってるんだ!頭を冷やせよ、少し」

こうなると、流れが変わるな…

しかし相川は、穴があったら入りたいって心境だろうよ

今も下唇かんでさ、うつむいちゃってるし

「こうなっては、オブザーバーとして取りまとめさせてもらいたが、総長、いいかな?」

「はい。とんだみっともない会議にしてしまって、申し訳ありません。先輩、どうか、取りまとめの進行お願いします」

「うん。まあ、先程の写真の件だが、どこから手に入れたとかは、あとにしよう。とにかく、敵対勢力の幹部と我が南玉の補佐が直近で会っていたとなればだ、これは、ここで申し開きしてもわらない訳にはいかないだろうな…」

ほう…、オブザーバーのOBも、弁明の必要性を説いてるわ

「しかしだ。本人としても、突然のことだし、こういった大勢の前だ。詰問状態での吊し上げはよくないよ。仲間なんだから、我々は…。そうだろ?」

みんな頷いてるわ

さすがだな…、この先輩

ここまで理解があるのか…、女の組織に対して

ふふ、相川さんよ、この先輩に感謝するんだな





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