麻衣ロード、そのイカレた軌跡❷/赤き巣へ
その5
夏美
達美は、さかんに首を左右に傾げながら続けた
「…なんでまた、あんなに姉のように慕っている亜咲なんだよ。さっぱり、わからないんだ…。まあ、お前に言わせりゃ、普通の感覚じゃないんだよで、終わるんだろうけど…」
「私にもわからないよ。でもさ…、あの子にとっては、あえて亜咲だったんだろうと思うんだ。それに、紅子さん達も言っていたけど、ケイコにしたって偶然じゃない気もするんだな。”ケガさせるべき人間”も、あえて、ケイコだったんじゃないかって…。何となくだし、どうしてかは説明できないけど」
「…」
「ただ、もしかすると本郷は、自分に火をつけるということだったのかなって…」
「うーん、ますますもってわからん…」
達美は腕組みして固まっちゃったよ…
...
しばらくして、お母さんの大きな声がした
「夏美ー、嵯峨さんから電話よー!」
来たか、ついに!
おそらく同じ言葉を心で呟いてるであろう達美と、私は顔を見合わせた
「じゃあ、行ってくるよ、達美」
「ああ、頼む」
...
私は足早に階段を下りて、1階の電話を前にして立止まった
そして、大きく深呼吸をしてから、受話器を取った
「もしもし…、お待たせしました」
「ああ、相川さん…。今、紅子さんのジムに来てるの。それで、まず報告するわね。砂垣さん、こっちの条件呑んだわ」
「そうですか!よかった…」
ふうー、まずは胸をなで下ろした
「まあ、最後まで身の安全を念押ししてたみたいでね、砂垣さん。紅子さんは絶対大丈夫だからと、押し切ったらしいわ。それで、弁護士さんからも、さっき連絡があったのよ」
「それで、そっちの方はどうだったんですか?」
「相馬会長から書簡が届いたって。表向きは組の人が、紅子さんへの結婚祝いを持ってきたということみたいでね。その中に手紙が入っていたのよ…」
じゃあ、その手紙が相和会会長の”返答”ということか…
「とりあえず、その手紙に書かれたとおり、今ここで読むわ。いい?」
「ええ、お願します」
電話口のミキさんは、ゆっくりと読み上げてくれた
夏美
達美は、さかんに首を左右に傾げながら続けた
「…なんでまた、あんなに姉のように慕っている亜咲なんだよ。さっぱり、わからないんだ…。まあ、お前に言わせりゃ、普通の感覚じゃないんだよで、終わるんだろうけど…」
「私にもわからないよ。でもさ…、あの子にとっては、あえて亜咲だったんだろうと思うんだ。それに、紅子さん達も言っていたけど、ケイコにしたって偶然じゃない気もするんだな。”ケガさせるべき人間”も、あえて、ケイコだったんじゃないかって…。何となくだし、どうしてかは説明できないけど」
「…」
「ただ、もしかすると本郷は、自分に火をつけるということだったのかなって…」
「うーん、ますますもってわからん…」
達美は腕組みして固まっちゃったよ…
...
しばらくして、お母さんの大きな声がした
「夏美ー、嵯峨さんから電話よー!」
来たか、ついに!
おそらく同じ言葉を心で呟いてるであろう達美と、私は顔を見合わせた
「じゃあ、行ってくるよ、達美」
「ああ、頼む」
...
私は足早に階段を下りて、1階の電話を前にして立止まった
そして、大きく深呼吸をしてから、受話器を取った
「もしもし…、お待たせしました」
「ああ、相川さん…。今、紅子さんのジムに来てるの。それで、まず報告するわね。砂垣さん、こっちの条件呑んだわ」
「そうですか!よかった…」
ふうー、まずは胸をなで下ろした
「まあ、最後まで身の安全を念押ししてたみたいでね、砂垣さん。紅子さんは絶対大丈夫だからと、押し切ったらしいわ。それで、弁護士さんからも、さっき連絡があったのよ」
「それで、そっちの方はどうだったんですか?」
「相馬会長から書簡が届いたって。表向きは組の人が、紅子さんへの結婚祝いを持ってきたということみたいでね。その中に手紙が入っていたのよ…」
じゃあ、その手紙が相和会会長の”返答”ということか…
「とりあえず、その手紙に書かれたとおり、今ここで読むわ。いい?」
「ええ、お願します」
電話口のミキさんは、ゆっくりと読み上げてくれた