麻衣ロード、そのイカレた軌跡❷/赤き巣へ
その6
麻衣



夕方、予定より早く真樹子さんが部屋にやってきた

私からは、今日の査問委員会の様子を報告してね

「早速一報が入ったって、木戸から。首尾は上々だって言ってたらしいわ。あなたとも、新体制下で協調を暗黙できたって、鼻息荒かったみたい」

「フン、あんな先輩、所詮使い捨てよ。荒子さんに乗っかってなんぼのオポチョニストね。まあ、今日はあの人、実に”都合よく”立ち回ってくれたけどね。久美も、何とかやり退けたし、まずは一安心かな…」

「それで、こっちの方なんだけど、明日、緊急会議で主要議題を揉むことになるわ」

真樹子さんはここで、タバコに”火”を点けた

すかさず私は言った

「砂垣さんの尻にも”それ”、つけてあるからやるでしょ、ちゃんと」

真樹子さんは笑いながら、タバコの煙をひと吹かしだ


...



「新人事がすんなりいったら、真樹子さんは積田さんと接近して。南部さんは大恥をかいて除名、もう蚊帳の外だし、残るは高本さんね」

「うん。まあ、積田さんとは、昔から比較的気が合ってるから、うまく入り込むつもりだわ。ただ高本さんには、私、心底嫌われてるのよ…。南部さんが去って、自らは謹慎処分となっても、一筋縄にはいかないですよ。あの人、油断ならないし…」

「やっぱりそう…。なら、いいわ、次の段階で対処を考える。いずれにしても、明日の二つの”会議”で結果がでたら、一気に横滑りよ、次のステップに」

「わかってますよ、麻衣さん。すげーな、これからはもうガラガラポンで、”船底”がひっくり返るって訳だ…」

「ふふ…、ここしばらくは、台風と吹雪がごちゃまぜでカオスの毎日になるわ。まあ、それは流れができてるから、それに乗るだけね。それより、そろそろ”例の”お楽しみの話、聞かせて下さいよ、真樹子さん」

「ああ、ごめんなさいね。うっかりしてたわ、ははは…。実はね…」

真樹子さんはケバイ顔で大笑いした

それは、異様に迫力のある顔だった…




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