麻衣ロード、そのイカレた軌跡❷/赤き巣へ
その10
麻衣


「お前の放った高原バイク襲撃の巻き添えを食った子だよ。その子が、襲撃犯は別にいる、昨日出頭した女は別人だとな…。いいか、これは何を意味するか、お前ならピンとくるだろう」

「…」

「高原亜咲という、バイク乗りでは勇名が轟いていた女を襲ったんだ。昨日出頭した女が、高原とはバイクの腕で到底、比にならないことが焦点で注視されれば、偽物説が浮上せざるを得ない」

剣崎さんは、煙草をくわえながら淡々と話を続けた

「…司法と警察サイドの手前、”こっち”がどういう不都合を抱えることになるか…。想像できるはずだ、麻衣。そういうことなんだ、その手紙の意味するところは…。ただ、誤解するな。これは組に所属する俺の客観的解釈だ。会長がそう言ってた訳ではない」

私は全身が凍り付いていた

頭も混乱してるし…


...



よし…、落ち着いて、今、剣崎さんから耳にしたコトを整理しよう

とにかく、直接は紅子さんだ

相馬会長との関係はまあ、横に置く

それで、私らの頭越しに、”要請”を相馬会長に丸呑みさせた

その当事者は紅組でもなく、南玉連合にも所属していない、横田競子なんだ

あのカモシカ女が、紅子さんのお父さんの顧問弁護士を通じて法的手段をちらつかせた

わからない…、つながらないよ…

私が目を白黒させていると、剣崎さんが、また1枚の紙ぺらを私の前に置いた

「5年前の埼玉報知の記事だ。図書館で写しをとってきたものだ」

”ちびっこなでしこの大手柄!ひったくり犯を御用…”

なんだよ!この見出しは…


...



その新聞のコピーには、二人の少女の名前と写真が載っていた

”紅丸有紀”そして、”横田競子”…

あの二人にはこんな接点があったのか…


...


これで、繋がった…!!

あくまで紅子さんは、個人的問題として会長に確約をとった

まあ、こうなる…

ハハハ…、んなわけねえっての!

…そういうことか、なるほど…

やられた…

私は直感で、その結論に行き着いたよ



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