麻衣ロード、そのイカレた軌跡❷/赤き巣へ
その13
麻衣



部屋に着いて、”ひと煙”吸ったあと、シャワーを浴びた

バスタオルで体を拭くとき、いつも目にしているやけど跡

今日、”それ”は特別に愛おしかった

左太ももの内側に残る”それ”は、廃倉庫で真樹子さんと”繋がった”時の証だ

手で撫でると、”あの日”を思い出す

あれから、まださほど経っていないけど…

もう、あの人は私にとって、盟友の域だ

今日、真樹子さんには力づけられたわ

孤独なんかは苦にならない私も、さすがに今日は、共に語り合える人の存在が有難かった


...



今回の計画の総括としては、真樹子さんが言っていた通りだと思う

最後、砂垣からの謝罪をとり付けられなかったことを除けば、ほぼ計画通りに運んだ

次の段階への下地も敷けた

反省材料は多々あるが、私の中では、これらはすでに消化されているし…

剣崎さんが言ったように、明日の臨時幹部会では、粛々と流れに沿うつもりだ

そしてだ…

グシャグシャに丸めて放った、あの手紙のコピー

レオで私は何度も読み返し、私は悟ったわ

あの手紙を宛てた、会長の真意を


...



剣崎さんの前で思わず取り乱したのは、私の先入観によるものだった

会長は妥協したと、目先の損得で折れたと…

そういう思い込みを払ったら、すぐに見えてきたんだ

あの人の考えてることが…

むしろ、目先に執着していたのは私の方だったみたい

あの手紙には、相馬さんが私から”降りる”つもりがないことを、暗示してある

相馬豹子を連名にしたことで…

それは、紅丸さん経由で、”向こう”へは牽制のボールとして届く

また、紅丸さんへのリスペクトも捧げていた

相馬さんは、あの人が”ああいった”手だてで臨んできたからこそ、”要請”を”承諾”したんだ

決して安易に譲歩した訳ではなかった

さらに、あのコピーを私に見せることで、この計画における私への評価と、”次”への期待を伝えている

おそらく相馬さんは、”次”の私を、わくわくしながら心待ちしてくれてるだろう

なら、ご期待に沿うよう、いっそ、スケールアップしてやりますよ、”次”は

剣崎さんには、今日の私の発言訂正に加えて、さらなる”お願いごと”も持って行ってもらいますから…


...


まずは明日、一区切りがつく

相川さんよ…、また”睨めっこ”しようね





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