双子怪盗Ⅰ Mission:怪盗専門の"怪盗"
「……。」

そんなことがあったなんて思いもしなくて、息を呑む。

計算すると今は18才だろうか?

そうとは思えない過去が、暗く、ライ姉さんを彩る。

カサ…

すると、ポケットから出てきた家族写真が落ちてしまったようだ。

(母さんと父さんが居なくなった時の。)

「あっ!」

それを見た彼女は深く傷付いた顔をする。

それで、完璧に思い出した。

この家族写真が千切れている部分を_!

「ここ、ライ姉だよね?」

ファメも俺が言おうとしたことをそっくりそのまま言う。

「そう…、まさか破られてたとはね。」

徐々に思い出してく。

(ご飯を食べた日々、遊んだとき、本を読んだとき。)

「ライ姉さん、なんで忘れてたんだろ。」

(自分が家族を忘れてたなんて情けない。)

家族を取り戻す怪盗をしているくせに。

「アクリス…?」

「アクっ、どうしたの!?」

いつの間にか涙が目から零れ落ちてきてしまっていたみたいだ。

まるで、宝石の瞳を悲しく、艶やかに彩るかのように。
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