再会した敏腕救命医に娘ごと愛し守られています
この日から私たちはチーム医療の勉強以外でも多くの時間を共にすることになった。
医学部と薬学部は6年だが、それ以外は4年で卒業。
在籍する4年の間、私たちは授業だけでなく何かと集まり、意見交換するようになった。もちろんその後の飲み会も楽しみのひとつだった。お互い実習で忙しい合間をぬっては遊びにいく時もあり、みんなでキャンプをしたこともあった。
斗真は遊ぶ時は全力で楽しみ、楽しませてくれる。周りをよく見ていてフォローもうまい。
キャンプでは調理や火おこしなどなんでもこなしてくれた。わざわざ調べてきて料理を振る舞ってくれ、私たちを驚かせてくれた。
重いものを持っていればさりげなく手伝ってくれ、私はいつの間にか斗真を目で追うようになっていった。
もちろん他のみんなだっていい人ばかり。私が困っていれば声をかけてくれ、アドバイスをくれる。
けれどどうしても斗真のことだけは、知らず知らずのうちに彼の姿を探してしまう自分がいた。
こんな魅力的な彼を他の学生が気付かない訳がなく、何度となく告白されたと耳にした。その度にどうなったのだろうと不安になる自分がいた。
けれどどんな可愛い女の子からの告白でも彼は断っているようで、グループのみんなで集まる時には必ずと言っていいほど参加していた。そんな彼の姿にどこかほっとしてしまう自分がいた。太一も誠一郎も、亜依も付き合う人が出来たが、その時々でみんなの話を聞いたりしたが結局私は4年間誰とも付き合わずに卒業を迎えた。
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