再会した敏腕救命医に娘ごと愛し守られています
3月、卒業の日。
薬学部と医学部の4人を残し私たちは卒業する。それぞれ国家試験をパスし、系列の大学病院へ就職が決まった。
私と未来は都内、礼央は茨城、誠一郎は新潟に配属された。

「寂しくなっちゃうね」

亜依は涙ながらに私たちを祝うため会場に駆けつけてくれた。
私と未来は袴をはき、同級生の亜依とは違い一目で卒業してしまうのがわかる。

「亜依、待ってるからね! 病院で先に働くけどずっと亜依のこと待ってる。だから頑張って追いかけてきて」

私も涙ながらに声をかけた。
すると頷くばかりで声にならない亜依の肩を京介が抱いていた。

「大丈夫。まだ俺も太一も斗真もいるだろ?」

亜依は頷くが顔が上げられない。
私も未来もその姿に涙が止まらなくなる。

「ね、卒業したから終わりじゃないよ。ずっと友達でしょ? また時間を作ってみんなで遊ぼうよ」

うん、うん、と何度も頷き、ようやく顔を上げてくれ私たちはほっとした。
そんな亜依の涙を京介が親指で拭っているのを見て驚いた。
亜依も京介の顔を見上げていた。
そんなふたりの姿にみんなで驚いてしまった。

「あ、あの。どう言うこと?」

未来がいつものようにつっこんでいた。
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