再会した敏腕救命医に娘ごと愛し守られています
「ほら、行こう」

斗真が支えたままの腕をすくいあげられ、私はやっと立ち上がった。

「またね!」

いつもと変わらない別れの言葉に私も頷く。

「うん。またね!」

切なくなるが、私も笑顔でみんなに手を振る。
今日が最後じゃない。また会える、と自分に言い聞かせるようにお腹の奥がぎゅっと苦しくなるが最後まで笑うことができた。

お店を出てしばらく歩いていると、ふと先ほどまで斗真の手は私の腕を掴んでいたはずなのにいつのまにか彼の手と繋がれていた。
あれ?
私は慌てて手を離そうとしたがますますぎゅっと握られた。
繋がれた手を無言で見つめていると、斗真に道路の端に連れて行かれた。

「もう少しだけ時間いいかな?」

「え? あ、うん」

彼は私の声を聞くとそのままなぜか近くにある公園へと歩き始めた。
ここは学校からも近く、私たちは息抜きに良く集まっていた場所でもあるが夜になると静まりかえっていた。噴水の周りの街灯だけが周りを照らしていた。
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