再会した敏腕救命医に娘ごと愛し守られています
斗真は無事に国家試験に合格し、晴れて医師となった。
私と同じ東京に配属され、ホッとしていたのも束の間。初期研修が始まり、彼は学生の頃とは比にならないくらい仕事に追われるようになった。勉強熱心な彼が先輩にかじりついているのもあるかもしれないが、早く一人前になりたいと言っており、私との将来を考えてくれているからではないかと思うと少し嬉しく感じた。
私は仕事を始めて3年目。ようやくひと通りの流れが全て自分でこなせ、考えて行動できるようになってきた。身体も慣れてきて、生活にもようやくゆとりが出てきた。後輩からの相談にも乗ってあげられるようになり、少しだが看護師としての自信がついてきた。
もちろんまだ判断に困ることはあるし、初めてのこともまだまだある。
けれど誰に相談したらいいのか、どう対処すべきなのかやっと周りが見えてきた。
看護師としての仕事が楽しい、とやりがいを感じるようになってきた。
病棟で研修中の医師を見かけるたびに、斗真も頑張ってるはず、と応援したくなる気持ちでいっぱいになった。
学生の頃よりは連絡が減り、お互いの時間がますますすれ違うようになってしまったが、それでも合間を見つけては一緒に過ごす時間を大切にしてきた。
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