再会した敏腕救命医に娘ごと愛し守られています
夜になり目が覚めるが、身体を起こそうとしても軽く眩暈がしている。

「優里? 起きたの?」

未来がスマホを見ていたようだが私が起きたことに気がつき、声をかけてくれた。

「うん」

「調子はどう?」

「まだ目眩が少しする、かな」

「メニエールっぽくないし、貧血なのかな。頭位変換目眩なのかな。明日耳鼻科に行く?」

未来はどうしたらいいか考えるように私の症状を聞き出す。

「最近食欲がなかったから貧血っぽいのかな」

「そう? ならいいんだけど……。何か食べられそう?」

未来は立ち上がると自分の布団をたたみ始めた。
いつものように布団を端に片付けるとキッチンに向かう。

「冷凍庫の野菜使うね」

幾度となく一緒に料理をしている私のキッチン。未来は冷凍のほうれん草を取り出すとベーコン、コーンと炒め始めた。
ココットに入れ、卵を割入れるとレンジにかけ巣篭もりを作ってくれた。
冷蔵庫のそうじと言わんばかりに余った野菜をみんな入れて豚汁も作ってくれた。
ふたりで小さなテーブルをはさみ手を合わせる。

「いただきます」

豚汁を飲むときはまだ良かった……ご飯を目の前にすると急に吐き気を催してしまう。

「ご、ごめん……」

我慢できずトイレへと駆け込む。
トイレの外で未来が心配するように声をかけてきた。

「優里、大丈夫?」

はぁ、はぁ……。

「う、うん。大丈夫。ごめん」

大丈夫と言ったがなかなかトイレから出られない。座り込んでしまった。
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