再会した敏腕救命医に娘ごと愛し守られています
再会
会ってしまった……。
まさか、と思った。
どうしてこんなところにいるの?
私は紗良を抱き抱えたまま固まってしまった。
カルテに目を落としていた斗真が顔を上げると私に気がつき驚いていた。
「優里……」
斗真に名前を呼ばれドキンとした。
その時縫合セットを持ってきた看護師の物音にお互い我に返った。
「武藤紗良ちゃんだね?」
「はい」
紗良は白衣を着た斗真に恐怖心があるのか私にしがみついたまま。
「先生におでこ見せてくれる? 冷たいので消毒してみようか」
「いたい?」
「大丈夫。今は痛くないよ。痛いことする時には言うよ。嘘つきになりたくないからね」
「うん。うそつきはしたべろをひっこぬかれるんだよ」
しがみついたままの紗良は斗真を脅すような口調で言っていた。
「そりゃあ怖いね」
そんなことを言いながら手を動かす斗真は立派な医者になっていた。
「紗良ちゃん、ちょっとだけ痛いよ。パチンって4回したら終わる。すぐ終わるから頑張れる?」
「ヤダ」
「でも血がたくさん出ちゃったから治さないとバイキン入っちゃうよ。病院にお泊まりになったらママも泣いちゃうんじゃないかな?」
私の顔を見上げてくる紗良の表情は不安そう。
「紗良は強い子だもん。頑張った子には帰りにアイス買ってあげる」
「ほんと?」
私は頷いた。
看護師が処置を見せないよう、気を利かせ私に退室を促すが首を振った。
「大丈夫ですから」
すると斗真も「看護師だから大丈夫だよ」と説明してくれた。
斗真はホッチキスでパチンと手早く処置してくれた。
あまりの手際の良さに一瞬泣いた紗良だったがすぐに泣き止んだ。
「おわったの?」
「うん」
すると紗良は私に抱きついたままだが、笑顔を見せお礼を言っていた。
「ありがと」
また明日消毒に来るよう説明をうけると私はすぐに診察室を後にした。
斗真と同じ部屋にいたくなかった。
お会計を済ませると私はバッグを肩にかけ、紗良を抱きしめると入り口に止まっていたタクシーに乗り込み、逃げるように帰った。
まさか、と思った。
どうしてこんなところにいるの?
私は紗良を抱き抱えたまま固まってしまった。
カルテに目を落としていた斗真が顔を上げると私に気がつき驚いていた。
「優里……」
斗真に名前を呼ばれドキンとした。
その時縫合セットを持ってきた看護師の物音にお互い我に返った。
「武藤紗良ちゃんだね?」
「はい」
紗良は白衣を着た斗真に恐怖心があるのか私にしがみついたまま。
「先生におでこ見せてくれる? 冷たいので消毒してみようか」
「いたい?」
「大丈夫。今は痛くないよ。痛いことする時には言うよ。嘘つきになりたくないからね」
「うん。うそつきはしたべろをひっこぬかれるんだよ」
しがみついたままの紗良は斗真を脅すような口調で言っていた。
「そりゃあ怖いね」
そんなことを言いながら手を動かす斗真は立派な医者になっていた。
「紗良ちゃん、ちょっとだけ痛いよ。パチンって4回したら終わる。すぐ終わるから頑張れる?」
「ヤダ」
「でも血がたくさん出ちゃったから治さないとバイキン入っちゃうよ。病院にお泊まりになったらママも泣いちゃうんじゃないかな?」
私の顔を見上げてくる紗良の表情は不安そう。
「紗良は強い子だもん。頑張った子には帰りにアイス買ってあげる」
「ほんと?」
私は頷いた。
看護師が処置を見せないよう、気を利かせ私に退室を促すが首を振った。
「大丈夫ですから」
すると斗真も「看護師だから大丈夫だよ」と説明してくれた。
斗真はホッチキスでパチンと手早く処置してくれた。
あまりの手際の良さに一瞬泣いた紗良だったがすぐに泣き止んだ。
「おわったの?」
「うん」
すると紗良は私に抱きついたままだが、笑顔を見せお礼を言っていた。
「ありがと」
また明日消毒に来るよう説明をうけると私はすぐに診察室を後にした。
斗真と同じ部屋にいたくなかった。
お会計を済ませると私はバッグを肩にかけ、紗良を抱きしめると入り口に止まっていたタクシーに乗り込み、逃げるように帰った。