再会した敏腕救命医に娘ごと愛し守られています
家に着くと血液で汚れてしまった私と紗良は着替えを済ませた。
軽く食事を摂ると疲れたのかすぐに寝てしまい、そっと布団に寝かせた。
包帯で巻かれた紗良の頭を見ると申し訳なさが浮かんでくる。私が目を離さなければ怪我をしなかったはず。
心の中で何度も謝り、そっと頭を撫でた。
翌日、保育園へ事情を説明しお休みをした。
昨日の病院へ紗良を連れて行くと昨日とは違う医者の診察で安心した。
斗真は当直当番だと思い、わざとゆっくり気味の時間に来た。
今日は昨日買ってあげられなかったアイスを買って帰ろうね、と約束しており病院を出ると手を繋ぎ歩き始めた。
特別な時にしか買ってあげられないアイス屋さんのアイス。たくさんの中から選ぶアイスは紗良にとって特別なもの。スーパーで買えば安いアイスもお店のものは高いため頻繁に買ってあげられない。
「何にするー?」
「うーん。いちごかちょこ」
歩きながら相談していると後ろから声が聞こえた。
「優里」
振り返らなくても分かる、あの声……。
「優里!」
また呼ばれた。その声に胸の奥がぎゅっと締め付けられる。懐かしくて、でも切なくて、声だけで胸が締め付けられるほどに忘れられない彼の声。
立ち止まってしまった私を見つめる紗良。
「待って。優里、話をしよう」
私はゆっくりと振り返った。
ポロシャツに白いパンツを合わせ夏らしい爽やかな服装だった。手には大きめのトートバッグを持っており若々しく見える。足元のスニーカーも汚れなんてなくて綺麗だった。
反対に私は子供と動きやすいように、汚れてもいいデニムにTシャツだ。紗良の着替えや飲み物を持ち歩くため使い込んだリュックを背負い、足元はサンダルだった。
「話すことはないから」
それだけ言うと紗良の手を引き歩き始める。
けれど斗真は追いかけてきて、あっという間に距離を詰められて空いてる方の手を掴まれた。
「俺は話したい」
「私はない。悪いけど娘がいるからこういうのやめてくれる?」
冷静を装い、私は彼の手を外す。
私の声に斗真はハッとして手を離してくれた。
「紗良ちゃん。昨日の先生だよ。おでこは痛くないかな?」
かがむと紗良の視線に合わせて話しかけてきた。
ちょっと……!
私は慌てて紗良を抱き上げる。
「いたくない」
「えらかったもんね」
「うん。だからいまからママにあいすかってもらうの」
ちょっと。
紗良は自慢げに斗真に話していた。
「頑張ったから先生がアイスかってあげるよ。いっしょに食べないかな?」
「うん!」
良くも悪くも人見知りをしない紗良は斗真の誘いに頷いてしまう。
「斗真!」
彼を制するが私の声を気にする気配はない。
紗良を下ろすと反対の手を握りしめていた。
何を考えているの?
斗真と手を繋いだ紗良の横顔はどこか彼の顔に似ていて、ドキッとした。
「紗良ちゃんは何アイスが好きなのかな?」
「ちょこかいちご」
「ママと同じだね」
楽しそうに紗良に声をかける斗真はどんどん進んでいってしまう。
私は紗良に手を引かれる。
3人で手を繋いで歩いているとまるで家族のよう。
軽く食事を摂ると疲れたのかすぐに寝てしまい、そっと布団に寝かせた。
包帯で巻かれた紗良の頭を見ると申し訳なさが浮かんでくる。私が目を離さなければ怪我をしなかったはず。
心の中で何度も謝り、そっと頭を撫でた。
翌日、保育園へ事情を説明しお休みをした。
昨日の病院へ紗良を連れて行くと昨日とは違う医者の診察で安心した。
斗真は当直当番だと思い、わざとゆっくり気味の時間に来た。
今日は昨日買ってあげられなかったアイスを買って帰ろうね、と約束しており病院を出ると手を繋ぎ歩き始めた。
特別な時にしか買ってあげられないアイス屋さんのアイス。たくさんの中から選ぶアイスは紗良にとって特別なもの。スーパーで買えば安いアイスもお店のものは高いため頻繁に買ってあげられない。
「何にするー?」
「うーん。いちごかちょこ」
歩きながら相談していると後ろから声が聞こえた。
「優里」
振り返らなくても分かる、あの声……。
「優里!」
また呼ばれた。その声に胸の奥がぎゅっと締め付けられる。懐かしくて、でも切なくて、声だけで胸が締め付けられるほどに忘れられない彼の声。
立ち止まってしまった私を見つめる紗良。
「待って。優里、話をしよう」
私はゆっくりと振り返った。
ポロシャツに白いパンツを合わせ夏らしい爽やかな服装だった。手には大きめのトートバッグを持っており若々しく見える。足元のスニーカーも汚れなんてなくて綺麗だった。
反対に私は子供と動きやすいように、汚れてもいいデニムにTシャツだ。紗良の着替えや飲み物を持ち歩くため使い込んだリュックを背負い、足元はサンダルだった。
「話すことはないから」
それだけ言うと紗良の手を引き歩き始める。
けれど斗真は追いかけてきて、あっという間に距離を詰められて空いてる方の手を掴まれた。
「俺は話したい」
「私はない。悪いけど娘がいるからこういうのやめてくれる?」
冷静を装い、私は彼の手を外す。
私の声に斗真はハッとして手を離してくれた。
「紗良ちゃん。昨日の先生だよ。おでこは痛くないかな?」
かがむと紗良の視線に合わせて話しかけてきた。
ちょっと……!
私は慌てて紗良を抱き上げる。
「いたくない」
「えらかったもんね」
「うん。だからいまからママにあいすかってもらうの」
ちょっと。
紗良は自慢げに斗真に話していた。
「頑張ったから先生がアイスかってあげるよ。いっしょに食べないかな?」
「うん!」
良くも悪くも人見知りをしない紗良は斗真の誘いに頷いてしまう。
「斗真!」
彼を制するが私の声を気にする気配はない。
紗良を下ろすと反対の手を握りしめていた。
何を考えているの?
斗真と手を繋いだ紗良の横顔はどこか彼の顔に似ていて、ドキッとした。
「紗良ちゃんは何アイスが好きなのかな?」
「ちょこかいちご」
「ママと同じだね」
楽しそうに紗良に声をかける斗真はどんどん進んでいってしまう。
私は紗良に手を引かれる。
3人で手を繋いで歩いているとまるで家族のよう。