再会した敏腕救命医に娘ごと愛し守られています
あっという間にお店に着くと斗真は紗良を抱き上げ、ショーケースを見せてあげる。

「紗良ちゃんどれにする?」

「あのいちごがいい」

指差した先にはいつものいちごミルクだった。

「優里は何にする?」

ふと私に話を振られ、慌ててしまう。

「えっと、私はチョコミント」

すると彼はさっと私と紗良の分、自分の分と3個注文してくれた。

「せんせいはなにアイス?」

「レモンシャーベットだよ。食べてみる?」

すると斗真は紗良のスプーンを自分のアイスに乗せてあげた。

「おいしいね。ちょっとすっぱくてあまいね」

紗良はご機嫌で食べていた。
いつもなら私の分は頼まないのについ好きなものを言ってしまった。
久しぶりに食べるチョコミントはすごく美味しかった。子供がいると自分の分はなかなか頼めない。子供の残りをもらうばかりだったから自分のアイスを頼むのなんていつぶりだろう。

「優里?」

「あ、ごめん」

ぼうっとしてしまったが気を緩めてはいけない。
アイスを食べ終わると私は紗良にお礼を言うように言い、その場から帰ろうとした。

「紗良ちゃん、ママと少しだけお話ししてもいい?」

「いーよー」

よし、と椅子から立ち上がると紗良の手を取った。
近くの公園まで10分。私はふたりの後ろを着いていく。
斗真は何が話したいの?
もう何年も前に終わった私たちの関係。
懐かしむような終り方じゃなかった。
むしろ私はどれだけ涙を流したかわからない。
斗真に今さらあの頃の話をされたら悔しさが込み上げてくるだろう。
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