再会した敏腕救命医に娘ごと愛し守られています
公園に着くと砂場で遊び始める紗良を横目に私と斗真は近くのベンチに腰掛けた。
「優里、元気だった?」
私の反応を伺うようにそっと話しかけてきた。
「うん」
「どうして急にいなくなったんだ?」
いきなり本題から入りビクッとした。
「どうしてって言った? どうしてかわからないのなら仕方ないね。私には私なりの理由があった。でも斗真には分からないことだろうね」
もう4年も前の話。
今さらあの頃の感情をぶり返したくはない。
もう忘れたかった。
今の紗良との幸せな生活で満足している。
彼だって今はこんなにかっこいい医者になってるじゃない。昔よりもさらに魅力が増し、色んな人の誘いが引くて数多だろう。
「優里と話したかった。俺の何が悪かったのか教えて欲しいんだ」
「終わったことでしょ」
「終わってない!」
横並びの斗真は前屈みになり、私の方へ向き合ってきた。
「私の中では昔の話。今は娘といて幸せに暮らしてるから」
「でも武藤のままだろ?」
あ……。
昨日のカルテで紗良の苗字が武藤だと知られていた。
私の姓が変わってないから強引に誘ってきたんだ。
「紗良ちゃん3歳だろう?生年月日も見た。俺の子なんじゃないのか?」
「違う! 斗真の子じゃない」
興奮気味に言うと、紗良が振り返った。
「ママ?」
「ごめん。大丈夫よ。お山作ってみて」
紗良がまた砂場に夢中になるのを確認すると、私は小声で斗真に話しかけた。
「斗真、こういうの迷惑なの。辞めてくれる? 私は今幸せなの。邪魔しないで」
「優里。でもあの子は? 俺たちの子じゃないのか?」
「違うって言ってるでしょ」
斗真は明らかに疑っている。
「私には私の人生があるの。斗真のそれとは重ならなかった、ただそれだけ」
「俺は違う。優里と結婚するって考えてた」
彼の言葉にビクッとした。
私だって彼と結婚したいと思ってた。けど無理だった。
私が困っている時に手を差し伸べてくれなかったじゃない。
それなのに自分が被害者みたいに言わないで欲しい。
悔しくて手をぎゅっと握りしめた。
「もう終わった話でしょ」
私はこれ以上ここにいたら心が壊れそうだった。
立ち上がると紗良に声をかける。
砂にまみれ、手も服も汚れている。
軽くはたいていると斗真に近づき足にぎゅっとつかまってしまった。
「ごめん!」
白いパンツに汚れがついてしまった。
慌ててハンドタオルを取り出すと汚れを落とそうとポンポンとたたいたがなかなか落ちない。
「本当にごめんなさい。クリーニング代払います」
バッグから財布を取り出そうとすると斗真に止められた。
「気にしてないから。それに紗良ちゃんが驚いてるよ」
私が慌てて斗真のパンツの汚れを落とそうとしゃがんでいたから何事かと不安そうな顔をして,私の服を掴んでいた。
「紗良ちゃん、大丈夫だよ。お洗濯したら綺麗になるんだからね」
「ごめんなさい」
紗良は私の影に隠れながら謝っていた。いつもなら私も気にも留めないが彼のパンツは違う。それが分かったのだろう。子育てしていると汚れるなんて日常茶飯事だから気にしていなかった私も悪かった。
「紗良。手が汚れてる時は気をつけようね」
私が言うと今にも泣きそうな顔で頷いていた。
「本当にごめんなさい」
それだけ言うと紗良を抱き上げ、逃げるように公園を後にした。
紗良は首にしがみついていて子供ながらに悪いことをしたと感じている様だ。
歩きながら背中を優しく撫でてあげていると落ち着いて、いつのまにか寝てしまった。
「優里、元気だった?」
私の反応を伺うようにそっと話しかけてきた。
「うん」
「どうして急にいなくなったんだ?」
いきなり本題から入りビクッとした。
「どうしてって言った? どうしてかわからないのなら仕方ないね。私には私なりの理由があった。でも斗真には分からないことだろうね」
もう4年も前の話。
今さらあの頃の感情をぶり返したくはない。
もう忘れたかった。
今の紗良との幸せな生活で満足している。
彼だって今はこんなにかっこいい医者になってるじゃない。昔よりもさらに魅力が増し、色んな人の誘いが引くて数多だろう。
「優里と話したかった。俺の何が悪かったのか教えて欲しいんだ」
「終わったことでしょ」
「終わってない!」
横並びの斗真は前屈みになり、私の方へ向き合ってきた。
「私の中では昔の話。今は娘といて幸せに暮らしてるから」
「でも武藤のままだろ?」
あ……。
昨日のカルテで紗良の苗字が武藤だと知られていた。
私の姓が変わってないから強引に誘ってきたんだ。
「紗良ちゃん3歳だろう?生年月日も見た。俺の子なんじゃないのか?」
「違う! 斗真の子じゃない」
興奮気味に言うと、紗良が振り返った。
「ママ?」
「ごめん。大丈夫よ。お山作ってみて」
紗良がまた砂場に夢中になるのを確認すると、私は小声で斗真に話しかけた。
「斗真、こういうの迷惑なの。辞めてくれる? 私は今幸せなの。邪魔しないで」
「優里。でもあの子は? 俺たちの子じゃないのか?」
「違うって言ってるでしょ」
斗真は明らかに疑っている。
「私には私の人生があるの。斗真のそれとは重ならなかった、ただそれだけ」
「俺は違う。優里と結婚するって考えてた」
彼の言葉にビクッとした。
私だって彼と結婚したいと思ってた。けど無理だった。
私が困っている時に手を差し伸べてくれなかったじゃない。
それなのに自分が被害者みたいに言わないで欲しい。
悔しくて手をぎゅっと握りしめた。
「もう終わった話でしょ」
私はこれ以上ここにいたら心が壊れそうだった。
立ち上がると紗良に声をかける。
砂にまみれ、手も服も汚れている。
軽くはたいていると斗真に近づき足にぎゅっとつかまってしまった。
「ごめん!」
白いパンツに汚れがついてしまった。
慌ててハンドタオルを取り出すと汚れを落とそうとポンポンとたたいたがなかなか落ちない。
「本当にごめんなさい。クリーニング代払います」
バッグから財布を取り出そうとすると斗真に止められた。
「気にしてないから。それに紗良ちゃんが驚いてるよ」
私が慌てて斗真のパンツの汚れを落とそうとしゃがんでいたから何事かと不安そうな顔をして,私の服を掴んでいた。
「紗良ちゃん、大丈夫だよ。お洗濯したら綺麗になるんだからね」
「ごめんなさい」
紗良は私の影に隠れながら謝っていた。いつもなら私も気にも留めないが彼のパンツは違う。それが分かったのだろう。子育てしていると汚れるなんて日常茶飯事だから気にしていなかった私も悪かった。
「紗良。手が汚れてる時は気をつけようね」
私が言うと今にも泣きそうな顔で頷いていた。
「本当にごめんなさい」
それだけ言うと紗良を抱き上げ、逃げるように公園を後にした。
紗良は首にしがみついていて子供ながらに悪いことをしたと感じている様だ。
歩きながら背中を優しく撫でてあげていると落ち着いて、いつのまにか寝てしまった。