再会した敏腕救命医に娘ごと愛し守られています
けれどあの時の気持ちを考えると今すぐに斗真と元の関係に戻れるとは思えない。
あれから間違いなくお互いに時は流れてる。
斗真に未練がないかと問われると分からない。忘れなければいけないと思っていたから……。
この4年の間、本当にいろんなことがあった。つわりも結局かなり長く続き、妊娠後期まで辛かった。その間支えてくれたのは未来と両親だった。亜依にも連絡をしたが、彼女は実家の島根に戻ってしまったので卒業後は会えていない。その代わり季節ごとにお菓子や子供のものをこまめに送ってくれる。
未来は今でも月に1度は来てくれて、紗良もみーちゃんと呼びとても懐いている。
彼女は今脳神経外科に移動になり大変らしいが紗良に癒されると言っては遊んでいってくれる。妊娠がわかったあの日からずっと支え続けてくれる彼女は今の状況をどう思うのだろうか。
シングルマザーで生むことを決めた娘を見守り続けてくれた両親は彼をどう思うのだろう。
今の状況をどうしたらいいのか分からない。
今さら斗真と上手くいくのだろうか。
そろそろ17時だ。
夕飯の支度をしなければならないが斗真はどうするのだろうか。
紗良と楽しく遊んでる姿を見ると帰ってとは言えない。

「ね、夕飯食べてく? 紗良と遊んでもらったお礼に」

何か理由をつけないと誘えず、私は妥当なお礼を口にした。すると斗真は驚いたような表情を浮かべ、「いいのか?」と嬉しそうにしていた。

「うん。紗良は18時過ぎには食べ始めるの。だからそろそろ作らないと……。大したものはないんだけど」

「食べたい!」

斗真は乗り気だった。
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