再会した敏腕救命医に娘ごと愛し守られています
未来とはクラスが一緒、名前も近いため席も前後となった。
看護学部は基礎学習を学校で行い、1年の後半から実習に出始めることになる。そのため他学部とは違いクラスごとで同じ座学を受けることになる。
私のいる大学は医学部や薬学部をはじめ、医療系の学部が多くある。大学の頃からチーム医療について学べるのも大きな特色である。医療は医師だけでなくコメディカルを含めチームとして考えていくのがこれからの考え方だ。コメディカル……いわゆる看護師や薬剤師、臨床検査技師や放射線技師、理学療法士、栄養士、ソーシャルワーカーなど数え上げたらキリがないが、多くの人が1人の患者さんのためにより良い医療に取り組むというのがチーム医療。少し前までは医師に言われたことをするだけの医療従事者が今は肩を並べ、対等に意見を言い合える環境となった。
1年生の頃からチーム医療を勉強することができるこの大学に魅力を感じたのも私には選んだ大きな理由だ。
「優里! 信じられない。私と一緒のグループだったわ」
「本当? 良かったー」
入学してしばらく経ち、だいぶ会話を交わせる友人も増えてきたが、それでも未来と話すのが一番楽しい。そんな未来とこれから一緒に実習に行けると思うと心強い。
病院での実習はまだ先だが、チーム医療を勉強するためのグループも発表された。
医学部2人、薬学部2人、医療検査学部、医療工学部からはそれぞれ1人、それと私たち看護学部2人で構成されていた。
明日初めての顔合わせとなるがこれから何度も話し合うグループとなるため私も未来も緊張が隠せない。
「ねぇ、どんな人たちだと思う? いい人だといいね」
「うん。優しい人だといいなぁ」
「でもさ、どうせならイケメンがいいな」
ポツリと漏らした未来の言葉にクスッと笑ってしまった。私に話しかけてきた時と同様に積極的な面が見えたからだ。
「未来は彼氏が欲しいの?」
「うーん……いい人がいたら、かな。忙しくなるし、それを理解してくれる人なら。そう思うと同じ医療系の人っていいのかな、と思わない?」
同業者だと理解し合えるかもしれないけど、時間が合わせられなさそうなんじゃないか、と思うが未来には言えない。
「どうかなぁ」
「優里は彼氏欲しい?」
「私?! 私はいいや」
「そうなの? 優里は綺麗だし、すぐにできそうだけどね」
未来にはそう言われるが、本当に彼を作るつもりはない。高校の頃、この見た目でトラウマとなるようなことがあったからだ。
高校の頃、私も周りと同じようにメイクを覚え、学校に行く時もオシャレに気をかけていた。二重で、もともと目鼻立ちも割とはっきりしているためかメイクをすると大人びてみられた。当時の私は大人びてみられることも優越感のようなものに感じていた。
けれど初めてできた彼に付き合ってすぐに襲われ、私は慌てて逃げた。付き合う前は優しかった彼が急に男に見え、私を組み伏せてきた彼を突き放すと「何もったいぶってるんだよ」と言われた言葉に傷ついた。それから私はメイクをせず、彼氏を作ることもなく高校生活を終えた。
そんな私はまだあの組み伏せられたときの男の人の力強さを忘れられず、付き合ってまたあんなことがあったらと思うだけで前に進めずにいた。
看護学部は基礎学習を学校で行い、1年の後半から実習に出始めることになる。そのため他学部とは違いクラスごとで同じ座学を受けることになる。
私のいる大学は医学部や薬学部をはじめ、医療系の学部が多くある。大学の頃からチーム医療について学べるのも大きな特色である。医療は医師だけでなくコメディカルを含めチームとして考えていくのがこれからの考え方だ。コメディカル……いわゆる看護師や薬剤師、臨床検査技師や放射線技師、理学療法士、栄養士、ソーシャルワーカーなど数え上げたらキリがないが、多くの人が1人の患者さんのためにより良い医療に取り組むというのがチーム医療。少し前までは医師に言われたことをするだけの医療従事者が今は肩を並べ、対等に意見を言い合える環境となった。
1年生の頃からチーム医療を勉強することができるこの大学に魅力を感じたのも私には選んだ大きな理由だ。
「優里! 信じられない。私と一緒のグループだったわ」
「本当? 良かったー」
入学してしばらく経ち、だいぶ会話を交わせる友人も増えてきたが、それでも未来と話すのが一番楽しい。そんな未来とこれから一緒に実習に行けると思うと心強い。
病院での実習はまだ先だが、チーム医療を勉強するためのグループも発表された。
医学部2人、薬学部2人、医療検査学部、医療工学部からはそれぞれ1人、それと私たち看護学部2人で構成されていた。
明日初めての顔合わせとなるがこれから何度も話し合うグループとなるため私も未来も緊張が隠せない。
「ねぇ、どんな人たちだと思う? いい人だといいね」
「うん。優しい人だといいなぁ」
「でもさ、どうせならイケメンがいいな」
ポツリと漏らした未来の言葉にクスッと笑ってしまった。私に話しかけてきた時と同様に積極的な面が見えたからだ。
「未来は彼氏が欲しいの?」
「うーん……いい人がいたら、かな。忙しくなるし、それを理解してくれる人なら。そう思うと同じ医療系の人っていいのかな、と思わない?」
同業者だと理解し合えるかもしれないけど、時間が合わせられなさそうなんじゃないか、と思うが未来には言えない。
「どうかなぁ」
「優里は彼氏欲しい?」
「私?! 私はいいや」
「そうなの? 優里は綺麗だし、すぐにできそうだけどね」
未来にはそう言われるが、本当に彼を作るつもりはない。高校の頃、この見た目でトラウマとなるようなことがあったからだ。
高校の頃、私も周りと同じようにメイクを覚え、学校に行く時もオシャレに気をかけていた。二重で、もともと目鼻立ちも割とはっきりしているためかメイクをすると大人びてみられた。当時の私は大人びてみられることも優越感のようなものに感じていた。
けれど初めてできた彼に付き合ってすぐに襲われ、私は慌てて逃げた。付き合う前は優しかった彼が急に男に見え、私を組み伏せてきた彼を突き放すと「何もったいぶってるんだよ」と言われた言葉に傷ついた。それから私はメイクをせず、彼氏を作ることもなく高校生活を終えた。
そんな私はまだあの組み伏せられたときの男の人の力強さを忘れられず、付き合ってまたあんなことがあったらと思うだけで前に進めずにいた。